岡部洋一

岡部 洋一 (おかべ よういち) とは

岡部洋一は1943年8月16日に東京都で生まれた、日本を代表する工学者および神経科学者です。彼は超伝導エレクトロニクス、生体磁気、ニューラルネットワークに専門性を持ち、これらの分野に多大な影響を及ぼしてきました。1972年に東京大学で工学博士の学位を取得し、その後は東京大学の名誉教授および放送大学の名誉教授として、教育および研究活動を行っています。特に、放送大学では教授から副学長、学長を経て、現在もその職に留まっています。

研究分野

岡部氏の研究は、電気電子工学を基盤にしつつ、医工学や生体磁気といった、より広い領域にまで及びます。彼は特に人間を対象としたシステム工学や、生体材料学への応用について注力しています。彼の研究の一環として「脳における思考と言語のメカニズムの研究」があり、この研究では脳内のニューロン間の情報伝達の仕組みを深く解析しています。

また、ブレインコンピュータに関する研究にも力を入れ、1996年から始まった脳型計算論と脳型計算システムの設計において、システム工学のアプローチを用いて脳化学的手法を探求しています。生体のフィードバック学習についての考察として、中庸主義に基づく神経回路網の自己組織化にも着目しています。

岡部氏は生体磁場、特に逆問題解析の研究も行い、1986年から1987年にかけての高温超伝導材料を用いたエレクトロニクス分野への応用にも取り組みました。高温超伝導体を利用したトンネル型ジョセフソン素子の実現を目指して研究を行い、科研費特定領域研究の代表者としてこの分野を率いてきました。更に、ロボットの学習制御においても、リカント型ニューラルネットワークを用いた安定した二足歩行の実現に成功しました。

略歴と学歴

岡部氏は、静岡県浜松市に転居し、静岡大学附属浜松中学校を経て静岡県立浜松北高等学校を卒業。その後、東京大学に進学し、工学部を卒業後、大学院に進みました。1972年に大学院を修了し、同年に東京大学工学部で講師としてキャリアをスタートさせました。その後、助教授、教授、さらに先端科学技術研究センターの教授としても活躍しました。そして2006年に退官後、放送大学にて教授を務め、副学長、学長として大学を牽引しました。

受賞と社会的活動

岡部氏は2019年に瑞宝中綬章を受章しました。また、様々な学術団体で重要な役職を歴任し、電子通信学会や日本学術振興会でも貢献しています。特に独立行政法人メディア教育開発センターの理事などを務め、教育政策に関する活動も行っています。

家族と影響

家族には著名な工学者が多く、父親はマイクロ波の研究者で元静岡大学教授の岡部隆博です。また、祖父はマグネトロンの発明者で、文化勲章を受章した岡部金治郎であります。こうした背景が岡部氏の研究活動に影響を与えており、彼の家系は学問と技術の発展に寄与してきたと言えるでしょう。

著書と研究活動

岡部氏は数多くの著書を執筆しており、特に『電気磁気学基礎』や『コンピュータのしくみ』などが知られています。また、教育活動においても、放送大学の教育プログラムに積極的に参与し、学生たちの学びを支えています。これからも、科学技術の発展に向けて、その活動は続いていくでしょう。

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