生体材料

生体材料とは

生体材料とは、医学や歯学の分野で、主に人体に移植することを目的とした材料のことです。具体的には、人工関節、デンタルインプラント、人工骨、人工血管などに用いられています。

定義

生体材料は、「生命を持たず、医療器具に用いられ、生体との相互作用を意図された材料」と定義されます。体内に入ると異物反応が起こることがありますが、生体適合性のある材料は、この反応を最小限に抑えることができます。

生体適合性

生体適合性とは、生体材料が体内で適切な反応を引き起こす能力のことです。具体的には、毒性がないこと、微生物由来の成分を含まないこと、機械的な刺激を与えないこと、細胞やタンパク質との相互作用が良好であることなどが挙げられます。これらの要素が満たされない場合、炎症や拒絶反応が起こることがあります。

生体材料は、体内で薄い線維性のカプセルに包まれて被包化される場合があります。被包化は必ずしも好ましいものではなく、近年では、生体吸収性や生理活性を持つ材料、治癒促進効果を持つ材料の開発が進められています。

材料の種類

生体材料には、様々な種類があります。

金属: ステンレス鋼、コバルト合金、チタン合金などが用いられ、ステント、人工心臓弁、人工関節、デンタルインプラントなどに使用されます。これらの金属は、生体内で腐食しにくい性質を持っています。
セラミック: ガラスやセラミックは、硬組織の補綴に用いられます。歯科材料や人工関節に使用され、金属の腐食問題を回避するために表面をコーティングすることもあります。多孔質にすることで生体との結合性を高めることができます。
合成高分子: ナイロン、ポリプロピレン、ポリジオキサノン、ポリ乳酸などが縫合糸として使用されるほか、ポリエチレンテレフタレートやテフロンは血流に接触する用途に使用されます。
生体由来材料: 絹糸、コラーゲンなどが用いられるほか、脱細胞組織をそのまま使用することもあります。

用途例

生体材料は、様々な医療分野で使用されています。

人工血管
人工心臓弁
人工関節
人工骨
デンタルインプラント
眼内レンズ
ステント
縫合糸

まとめ

生体材料は、医療において欠かせない材料です。近年では、より生体親和性の高い材料や、組織再生を促す材料の開発が進められています。今後も、さらなる発展が期待される分野です。

参考資料

『生体材料』 - コトバンク

関連項目

炎症
* スマートポリマー

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