岡野弘彦

岡野弘彦の生涯と業績

岡野弘彦（おかの ひろひこ、1924年7月7日生まれ）は、日本の有名な歌人であり、学術界でも名を馳せた存在です。彼は國學院大學の名誉[[教授]]であり、日本芸術院の会員であるとともに、文化功労者や文化勲章受章者としても評価されています。長年にわたる教育活動及び歌壇での影響力により、彼は現代日本の歌文学において重要な役割を果たしてきました。

生い立ち

岡野は三重県一志郡美杉村（現在の津市）で、代々神主の家に生まれました。父親の弘賢のもとに長男として育ち、川上尋常小学校と神宮皇學館普通科で学びました。1948年に國學院大學国文科を卒業した後、1957年には専任講師として大学にシフトしました。1961年に助[[教授]]、1969年には教授として昇進し、1975年からは文学部長を務めることになります。また、1995年から2007年の間には國學院大學栃木短期大学の学長をも務めました。

歌人としての道

歌人としてのキャリアは1946年に始まりました。学生時代から、釈迢空（折口信夫）が主宰する短歌結社「鳥船社」に参加し、1947年には彼の家に同居、折口の死を看取ることになります。このことから、彼は折口の最後の弟子と見なされることが多く、以後、短歌の道を極めていきました。1973年には短歌雑誌「人」を創刊し、1995年から2008年まで読売文学賞の選考委員も務めました。

特に宮中との関わりが深く、1983年から2007年にかけて昭和天皇の作歌指南役に任じられました。皇太子徳仁親王や雅子皇太子妃にも和歌を進講し、長年にわたり日本の伝統文化の継承に寄与しました。また、1979年から2008年まで宮中歌会始選者を務め、2013年には歌会始の召人をも担当しました。

主な作品と受賞歴

2007年には歌集「バグダッド燃ゆ」を発表し、この作品は第29回現代短歌大賞及び第22回詩歌文学館賞を受賞しました。この歌集は岡野の戦争体験に基づき、戦禍にあるバグダッドに寄せる深い悲しみを表現しています。岡野の作品は評価が高く、1967年から2013年までに数回の賞を受賞しています。直近では『美しく愛しき日本』で第4回日本歌人クラブ大賞を受賞しています。

彼の受賞歴には、現代歌人協会賞、迢空賞、芸術選奨文部科学大臣賞など、多くの名誉が含まれます。また、紫綬褒章および勲三等瑞宝章も授与されています。特に2013年には文化功労者として受賞し、2021年には文化勲章を受けることになりました。

歌風と影響

岡野の歌風は、近年、折口信夫のスタイルに影響を受けた特徴が見られます。句読点や空き字を巧みに使い、さらに長歌と短歌を融合させた組歌の形式も取り入れています。その伝統的な詠法を守りながら、新しい表現技法を模索し続けています。作品の調べは清らかであり、彼の表現スタイルは一貫して確立しています。

著作と校歌

岡野は多くの歌集や評論、随想集を発表しており、近年では特に神話や日本の文化に関する著書にも力を入れています。また、校歌の作詞も手がけており、日本全国の多くの学校に彼の作品が存在しています。彼の詩的な業績は、特に次世代の歌人たちへの影響を与えており、門下生には松坂弘、藤井常世、秋山佐和子など、多くの優秀な歌人が名を連ねています。岡野弘彦は、その生涯を通じて日本の歌文学に深い足跡を残し続けています。

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