岩倉具張

岩倉具張（いわくら ともはる）

岩倉具張は、明治から昭和にかけて活躍した日本の政治家であり、公爵の爵位を持つ貴族院議員でした。岩倉具視の次男・岩倉具定の長男として、1878年（明治11年）に生まれ、1951年（昭和26年）に73歳でその生涯を閉じました。

生涯

東京帝国大学在学中に西郷従道の長女である桜子と結婚。1905年（明治38年）に大学を卒業後、一年志願兵として近衛歩兵第1連隊に入営し、陸軍歩兵軍曹として満期除隊しました。その後、内務省に勤務し、陸軍歩兵少尉に任ぜられるなど、軍人・官僚としての道を歩み始めます。

1910年（明治43年）に父の死により公爵を襲爵し、貴族院議員となります。また、宮内省御用掛、宮内書記官などを歴任し、宮廷においても重要な役割を果たしました。しかし、派手な芸者遊びを好み、その吝嗇ぶりから「天保銭の御前」と揶揄されることもありました。

転落

投機的な商人の誘いに乗り、土地投機に失敗。鉄道敷設予定地として紹介された北海道の土地を買い漁ったものの、鉄道は別の場所を通ることになり、莫大な損害を被りました。新橋の芸者に通い詰め、身請けしてレストランを開かせるなど、放蕩の限りを尽くし、一族の資産を浪費しました。高利貸に手を出し、東京霞ヶ関の自邸を差し押さえられるというスキャンダルに見舞われました。

これらの責任を取り、宮内書記官、皇太后宮主事を辞任。親族会議の結果、家督を長男に譲り隠居を余儀なくされます。その後、失踪騒ぎを起こすなど、晩年は不遇でした。1915年には福島県飯坂温泉で発見され、東京府に連れ戻されています。1916年には借金を踏み倒したとして詐欺罪で告訴されるなど、晩年も平穏とは言えませんでした。

1951年（昭和26年）に神奈川県葉山町の自宅で脳溢血により死去。墓所は品川区の海晏寺にあります。

親族

父は岩倉具定、母は岩倉久子。姉に依仁親王妃周子、妹たちはそれぞれ華族に嫁いでいます。弟たちも分家しています。妻は西郷従道の長女桜子。長男は英文学者、次男は言語学者、三男は画家としてそれぞれ名を成しました。三女は治安維持法違反容疑で逮捕後自殺するという悲劇に見舞われました。

栄典

1901年（明治34年） - 正五位
1907年（明治40年） - 従四位
1910年（明治43年） - 公爵
1913年（大正2年） - 正四位

岩倉具張は、華やかな出自を持ちながらも、その後の没落とスキャンダルによって、波乱に満ちた生涯を送った人物として記憶されています。

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