岩村昇

岩村 昇の生涯と業績

岩村昇（いわむら のぼる）は、日本の医学者であり医師として医学の道を切り開いた人物です。1927年に愛媛県宇和島市に生まれ、広島高等工業学校に進学しましたが、2年生の時に広島で被爆。この経験が彼の人生を大きく変えることとなり、医療の道を志すようになりました。1947年に松山高等学校に編入し、1954年に旧制米子医科大学（現在の鳥取大学医学部）を卒業しました。

その後、鳥取大学医学部で助教授としての経験を積んだ岩村は、1962年に国際協力NGOの一つである日本キリスト教海外医療協力会（JOCS）から派遣され、ネパールに赴任しました。彼が到着した当時、ネパールの国民の平均寿命はわずか37歳。彼は、結核やハンセン病、マラリア、コレラ、天然痘、赤痢といった様々な伝染病に苦しむ人々のために、栄養改善に取り組みました。

岩村は、妻である岩村史子と共に「ネパールの赤ひげ」と呼ばれ、18年間にわたって医療活動を行いました。彼は、単なる医療行為にとどまらず、現地の人々の生活向上に寄与するための取り組みを行い、多くの人々の健康と幸福に貢献しました。彼の活動は、地域の医療に対する意識を高め、ネパール社会全体に良い影響を与えました。

帰国後は、神戸大学医学部の教授となり、若手医療従事者の育成にも尽力しました。岩村の貢献は、国内外で高く評価され、「アジアのノーベル賞」とも称されるマグサイサイ賞を受賞する栄誉に輝きました。この賞は、特にアジア地域への貢献を称えるものであり、彼の医療活動がいかに多くの人々に影響を与えたかを証明しています。

2005年11月27日、岩村は呼吸不全のために78歳で亡くなりました。その生涯は、人々の健康を守るための情熱と献身によって彩られており、多くの人々にとってのロールモデルとして今も語り継がれています。

著書

岩村はまた著作家としても知られ、多くの書籍を残しました。これには、1986年の『ネパールの「赤ひげ」は語る』（岩波ブックレット）、1983年の『ネパールの碧い空　草の根の人々と生きる医師の記録』（講談社）、1965年の『山の上にある病院―ネパールに使いして』（新教出版社）などがあります。これらの著書を通じて、彼の経験や思想、そしてネパールでの医療の現状について深く知ることができます。

彼が書いた戯曲『誕生日 ― ケロイドの女』は1992年に小倉道雄によってエスペラントに翻訳され、さらなる解釈と影響を与えました。彼の業績をまとめた書籍も多く出版されており、彼の思考や活動、そして人間性を振り返る貴重な資料とされています。

関連項目

• - マグサイサイ賞：アジア地域での人道的活動を称える賞。
• - 日本キリスト教海外医療協力会（JOCS）：国際的な医療協力を目指すNGO。
• - ネパール：彼が医療活動を行った国。

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