岩村田陣屋

岩村田陣屋の歴史と構造

岩村田陣屋は長野県佐久市に位置し、元禄16年（1703年）に設立された信濃岩村田藩の藩庁として知られています。この陣屋は、もともと武蔵赤沼藩から移封された内藤正友によって築かれました。内藤氏は一時的に転封されることもありましたが、後に内藤正敬の代に再びこの地に封じられ、明治維新に至るまで陣屋に居を構えていました。実際に陣屋が存在した期間は、内藤氏が7代にわたり続きました。

幕末期には、内藤正縄の治世の時に城主格としての地位を確立しましたが、明治維新を迎えた際には城郭の構築が完成することなく廃止される運命にありました。しかし、当時の遺構のいくつかは現在でも残っています。具体的には、佐久市内の中島公園に移築されて現存している蔵などがそれに当たります。

岩村田陣屋の位置と敷地の概要

岩村田陣屋は現在、佐久市岩村田浅間支所の近く、岩村田542番地付近にあったとされています。陣屋の敷地はほぼ正方形に近く、面積は約23,000平方メートルにも及びました。この場所は、歴史的にも重要な位置を占めており、その構造は非常に興味深いものとなっています。

安政5年（1858年）の記録によると、岩村田陣屋内には多数の建物と施設が存在していました。具体的な施設数は以下の通りです:

• - 御殿 1棟
• - 御厩 1棟
• - 御長屋 21棟
• - 仏祠 4棟
• - 神祠 1棟
• - 御蔵 2棟
• - 御書物蔵 1棟
• - 面番所 3棟
• - 御役所 1棟
• - 池（瓢箪形）1ヶ所
• - 御門 5ヶ所
• - 桝形 1ヶ所

陣屋の周辺と配置

岩村田陣屋の北側は龍雲寺除地田に隣接し、北東には御厩、北西には仏祠が配置されていました。中央には御長屋があり、西側には複数の建物が横並びに構えられていました。特筆すべきは東側で、ここには神・仏祠と長屋が並び、瓢箪池も配置されていました。池はその形状が南北に長く、上流が細くなっているのが特徴です。

また南側には巨大な御殿があり、往来（旧中山道）が通っていました。その南方には割元屋敷があったとされています。西面には御長屋や仏祠、御門などの建物が比較的密集しており、表御門が西を向いて立っています。

水路は陣屋を囲むように流れており、現在の用水路や側溝に近い配置になっています。この水路の存在は、当時の生活環境をうかがい知る手がかりともなり、歴史的価値が高いと言えます。明治2年の地図では陣屋の場所が畑になっていたこともあり、その後、郡役所が完成し、地域が発展していく様子が伺えます。

岩村田陣屋はその歴史的背景と遺構から、長野県の文化遺産として重要な位置づけを持つ場所であり、訪れる人々に当時の日本の政治や社会の様子を感じさせる場所でもあります。

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