岩松尚純

岩松尚純（いわまつ ひさずみ）は、室町時代後期の上野国金山城主であり、武将として知られています。

経歴

寛正2年（1461年）に岩松明純の子として生まれました。「尚」の字は、当時の室町幕府将軍・足利義尚から偏諱を受けたものと考えられています。これは、祖父である岩松家純が幕府寄りの人物であり、父・明純も室町幕府に出仕していたこと、母方の蜷川氏が幕府の政所代を世襲する家柄であったことなどが影響していると考えられます。

父・明純は、祖父・家純と古河公方への対応を巡って対立し、廃嫡されたため、尚純が家純の跡を継ぎました。明応3年（1494年）に家純が死去すると、家督を相続し当主となります。

しかし、家臣である横瀬氏が台頭し、尚純は主導権を巡って彼らと対立します。明応4年（1495年）には横瀬成繁・景繁父子との間で衝突が起こりましたが、長尾房清の加勢があったにも関わらず、形勢は不利でした。最終的に、古河公方足利成氏の仲介により、家督を子の昌純に譲り、強制的に隠居させられることとなりました。

隠居後は連歌に熱中し、永正6年（1509年）8月には新田荘に滞在した連歌師・宗長と連歌会を催しています。また、宗祇が中心となって編纂した『新撰菟玖波集』には、尚純の連歌が9首採用されています。東国武士の連歌におけるマナーの低さを嘆き、「連歌会席式」と呼ばれる作法書を著しました。

永正8年（1511年）に51歳で死去。群馬県太田市の青蓮寺には、文亀元年（1501年）の年記があり、連歌の発句3句を書き付けた尚純の自画像が残っています。雪舟の自画像（模本のみ現存）と共に、日本における最初期の自画像として貴重なものです。

青蓮寺近くの岩松尚純萩公園には、夫妻の墓が現存しています。

参考文献
鶴崎裕雄「上野国国人領主岩松尚純の連歌とその資料」（黒田基樹 編著『シリーズ・中世関東武士の研究 第一五巻 上野岩松氏』収録）
山田烈「岩松尚純像と連歌」（黒田基樹 編著『シリーズ・中世関東武士の研究 第一五巻 上野岩松氏』収録）

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