岬の墓

『岬の墓』は、團伊玖磨が作曲した合唱曲で、堀田善衛の詩に曲をつけたものです。1963年に中部日本放送（CBC）の委嘱により作曲され、同年11月にCBC合唱団によって初演されました。初演時の指揮は木下保、ピアノは三浦洋一が担当し、この演奏は1963年度の芸術祭賞を受賞しました。

この曲は、当初は混声合唱とピアノのための作品として作曲されましたが、1975年には福永陽一郎によって男声合唱曲に編曲されました。男声合唱版は、同年5月3日に東京六大学合唱連盟定期演奏会において、早稲田大学グリークラブによって初演されました。この時も、指揮は福永陽一郎、ピアノは三浦洋一が担当しました。なお、女声合唱版は存在しません。

曲は全編が堀田善衛の詩によるもので、演奏時間は約14分です。ピアノ伴奏がついていますが、曲の冒頭と中間部にはア・カペラの箇所があります。これにより、曲に変化と深みが与えられています。

楽譜は、混声合唱版が音楽之友社から、男声合唱版がキックオフからそれぞれ出版されています。また、この曲はCDにも収録されており、日本伝統文化振興財団から発売された「日本合唱曲全集『岬の墓』團伊玖磨作品集」で聴くことができます。

この曲は、「日本の合唱作品100選」にも選ばれており、日本の合唱音楽を代表する作品の一つとして高く評価されています。その美しい旋律と、堀田善衛の詩が持つ深い情感が聴く人の心を捉え、長く愛され続けています。團伊玖磨の音楽性、堀田善衛の詩、そして初演や編曲に関わった人々の情熱が融合したこの作品は、合唱音楽の歴史においても重要な位置を占めています。

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