岸本義広

岸本義広

岸本義広（きしもと よしひろ、1897年4月30日 - 1965年9月10日）は、日本の検察官、政治家です。衆議院議員を1期務めました。

生い立ちと検察官としてのキャリア

岸本義広は、1897年に大阪府岸和田市で生まれました。大阪府立岸和田中学校、第三高等学校を経て、1923年に東京帝国大学を卒業しました。同年、検事となり、法曹界でのキャリアをスタートさせました。

戦後の混乱期には、東京地検検事正（1945年）、札幌高等[[検察庁]]検事長（1946年）などの要職を歴任。その後、広島高等[[検察庁]]検事長を経て、1951年に大橋武夫法務総裁の強い要望により、次長検事として中央に復帰します。この人事の過程では、木内騒動と呼ばれる事件が発生しました。

1955年には法務事務次官、1957年には東京高等[[検察庁]]検事長に就任。検察庁内でも重要な地位を歴任しました。東京高検検事長在任中には、売春汚職事件に関連して、読売新聞が宇都宮徳馬を収賄容疑で召喚必至と報道したことに対し、宇都宮が名誉毀損で告訴し、岸本がこれを逮捕するという出来事もありました。検察内部では、花井忠の後任として岸本が検事総長に就任するという見方が有力でしたが、後輩の清原邦一が1959年に検事総長に就任しました。

政治家への転身と失脚

1960年、岸本は検察庁を定年退官し、政界に転身します。同年の第29回衆議院議員総選挙に、旧大阪府第5区から自由民主党公認で出馬。松田竹千代らを破り、衆議院議員に初当選を果たしました。

しかし、政治家としての岸本のキャリアは長く続きませんでした。1961年、大阪地検特捜部によって公職選挙法違反で起訴されます（岸本義広選挙違反事件）。1963年の第30回衆議院議員総選挙では、前回から23,481票も得票数を減らし、肥田次郎らに敗れて落選しました。

1964年、大阪地裁の一審判決で、起訴状の28事実のうち12事実が認定され、大阪府議らに320万円を渡して買収したとして、禁錮1年3月、執行猶予3年、公民権停止3年の判決が下されました。岸本は判決を不服として控訴しましたが、控訴中の1965年9月10日、静養先の増富温泉で心臓麻痺のため死去しました。

まとめ

岸本義広は、検察官として長年活躍した後、政治家に転身しましたが、選挙違反事件によりそのキャリアは短く終わりました。検察官としてのキャリア、政治家としての挫折、その生涯は波乱に満ちたものでした。

関連情報

検察庁#特捜検察と公安検察

参考文献

『議会制度百年史 - 衆議院議員名鑑』衆議院、1990年。

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