岸田正吉

岸田正吉

岸田正吉（きしだ せいきち、1931年1月 - 2002年2月3日）は、20世紀後半の日本の国文学者であり、教育者です。彼の生涯は、国文学の研究と教育に捧げられました。

人物

1931年1月、岸田正吉は東京都に生まれました。1954年に東京大学文学部国文学科を卒業後、中教出版や麻布学園といった教育機関に勤務し、教鞭をとりました。その後、日本女子体育大学の教授に就任し、後進の指導にあたりました。2002年2月3日に逝去。

生前は、全国文章指導研究会の代表を務めたほか、東京大学国語国文学会、日本近代文学会、解釈学会など、数多くの学会に所属し、活発な研究活動を展開しました。

父は動物学者の岸田久吉であり、岸田久吉から正吉に遺贈された書籍や雑誌類は、東京蜘蛛談話会の有志によって整理され、クモ類文献は東京蜘蛛談話会に、他の動物学関係文献は東京農業大学図書館に寄贈されました。このことから、岸田正吉の学問的背景には、父親からの影響も少なからずあったことが伺えます。

また、東京大学在学中は囲碁部に所属し、麻布学園時代には囲碁部の創立に尽力しました。部活動を通して、石倉昇プロ九段をはじめとする多くの囲碁棋士を育成したことでも知られています。学問のみならず、文化的な活動にも積極的に参加し、多才な人物であったことがわかります。

著書・論文

岸田正吉は、国文学に関する著書や論文を多数発表しています。

著書

『生命(いのち)を見つめた作家たち』（風土社(東京), 1996年）ISBN 4-938894-01-7

論文

「志賀直哉『清兵衛と瓢箪』試論」（日本女子体育大学紀要 第23号, 1993年）
「森鷗外『興津弥五右衛門の遺書』小論」（日本女子体育大学紀要 第27号, 1997年）
「新解『小僧の神様』--太宰作品を手掛かりに」（日本女子体育大学紀要 第28号, 1998年）
「「西行」私論--西行の花月(小林秀雄「西行」を軸として)」（日本女子体育大学紀要 第31号, 2001年）

これらの著作や論文からは、日本の近代文学に対する深い造詣と、独自の解釈が見て取れます。特に、志賀直哉、森鷗外、太宰治といった作家の作品に対する考察は、今日においても重要な視点を提供しています。

関連人物

岸田久吉 (1888-1968)：父（動物学者）

関連項目

全国文章指導研究会：元代表
東京大学国語国文学会
日本近代文学会
解釈学会
* 東京蜘蛛談話会

岸田正吉は、国文学者として、また教育者として、多くの人々に影響を与えました。彼の研究業績は、日本の近代文学研究において重要な位置を占めており、今後も参照されることでしょう。

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