岸竹堂

岸竹堂の生涯と業績

岸竹堂（きしちくどう、1826年5月28日 - 1897年7月27日）は、日本画の幕末から明治時代にかけての巨星です。幼名は米吉、名は昌禄、号として竹堂や残夢、真月、虎林などを持ち、彼の名前は今日でも多くの人に知られています。京都の画壇にて、彼は森寛斎、幸野楳嶺と並び称される重要な存在であり、岸派の四代目としても知られています。

幼少期と教育

岸竹堂は彦根藩の代官・寺居孫二郎重信の三男として生まれました。11歳の時、地元の絵師であり彦根藩士の中島安泰から絵の基礎を学び始め、その後17歳で京狩野の流派9代目である狩野永岳に入門しましたが、彼の指導下での粉本主義に疑問を抱いた竹堂は、翌年から岸派の岸連山に師事することになりました。これにより、彼はより自由な表現を追求できるようになったのです。

結婚と初期の活動

竹堂は1854年に岸連山の娘である素子と結婚し、岸家の養子として新たな生活を始めました。この時期、二条城の御殿や御所などで障壁画を手がけ、大きな注目を集めました。特に円山派の長沢芦雪から影響を受けた彼の作品は、時代に即した新しいスタイルを生み出しました。

幕末の混乱とその後

しかし、幕末の社会情勢は厳しく、竹堂は経済的な困難に直面しました。師である連山の逝去や禁門の変によって家は焼失し、彼が蓄積した作品も失われる事態となります。この混乱の中で、丹後地方に拠点を移し、絵師としての活動を再開することとなりました。

友禅の下絵と新たな成功

1865年以降、竹堂の生活は千總の西村總左衛門との出会いにより一変しました。京都友禅において下絵を描くことで安定した収入が得られ、彼の独自のデザインは高く評価されるようになりました。これにより、竹堂はさらに大作の制作にも取り組む余裕が生まれました。

教職への就任と展覧会での受賞

明治13年には新たに設立された京都府画学校に教員として迎えられ、若い芸術家を育てる役割を担いました。また、さまざまな展覧会に出品し、数々の賞を受賞するなど、画壇の重鎮としての地位を確立しました。特に「猛虎図」は名作とされ、第3回内国勧業博覧会では銀杯を受賞しました。

晩年と影響

竹堂はサーカスで見た実物の虎に感銘を受け、彼の画風は一変しました。1892年、彼は虎をテーマにした新たな作品を熱心に制作し、精神的な苦悩を抱えることもありましたが、シカゴ万国博覧会での受賞がその成果となりました。

最後の歳月と遺産

1896年、竹堂は帝室技芸員となりますが、翌年には慢性胃炎により72歳で亡くなりました。彼が残した作品は、動物画や風景画、特に虎と桜の絵において際立ったもので、多くの弟子を育て、その影響は今日にまで及んでいます。岸竹堂は日本画界に多大なる影響を与えた画家として、長く記憶されることでしょう。

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