峰久幸義

峰久 幸義（みねひさ ゆきよし）

峰久 幸義氏は、日本の行政官として多岐にわたる分野で活躍しました。1949年4月24日、香川県三豊市に生まれた同氏は、行政の道を歩み、建設省、国土交通省といった中央官庁で重要な役職を歴任。特に国土交通省では、事務方のトップである事務次官まで昇り詰めました。また、退官後もその経験と識見を活かし、東日本大震災からの復興事業に深く関与したほか、公共性の高い団体の運営にも携わりました。2022年10月11日に73歳で逝去。

香川県立丸亀高等学校を卒業後、1972年に東京大学法学部第2類（公法コース）を修了し、同年、建設省に入省。キャリアの第一歩として都市局下水道部下水道企画課に配属され、国土基盤整備の一端を担いました。その後、建設省内で様々な部署を経験し、大臣官房地方厚生課長や道路局総務課長といった要職を歴任。地方行政との連携や、社会基盤整備の根幹をなす道路政策の企画・立案に携わりました。

2001年には中央省庁再編により国土交通省が発足。峰久氏は引き続き同省で重要なポストを担います。道路局次長を経て、2002年には自動車交通局長に就任。国の自動車交通政策全般を統括する責任者として、その手腕を発揮しました。さらに、2004年7月には省の総務部門を統括する大臣官房長に就任し、組織運営の中枢を担うことになります。2005年8月には国土交通審議官に昇任。これは事務次官に次ぐ要職であり、省全体の政策調整や重要課題への対応にあたりました。

そして、2007年7月10日、国土交通省の事務方トップである事務次官に就任。日本の交通政策や国土開発政策の最高責任者として、多岐にわたる課題に取り組んだ後、2008年7月4日に退官しました。

省を離れた後も、その豊富な経験は各方面で求められました。2009年7月28日には住宅金融支援機構の副理事長に就任し、国民の住宅取得を支援する政策金融機関の運営に関与。そして、2011年3月の東日本大震災発生後は、その復旧・復興という国家的な課題に対し、行政官としての知見と経験を捧げます。2011年6月には東日本大震災復興対策本部の事務局長に就任。被災地の復興に向けた国の対策を取りまとめる重責を担いました。

復興体制の強化に伴い、2012年2月10日に復興庁が設置されると、初代の復興庁事務次官に就任。東日本大震災からの復興を推進するための施策を指揮し、被災地の再生に尽力しました。2013年2月1日には内閣官房参与、復興庁顧問、そして福島復興再生総局の事務局長に就任。特に原子力災害からの復興という困難な課題に対し、現地での具体的な施策実行を担う事務局のトップとして、最前線で指揮をとりました。

さらに、民間企業や公益法人においてもその経験が活かされました。2013年2月15日にはアットホームホールディングス株式会社の顧問に就任。また、2016年6月24日からは一般財団法人不動産適正取引推進機構の理事長を務め、不動産取引の信頼性向上に貢献しました。

長年にわたる行政および公共分野への貢献に対し、2019年5月21日には瑞宝重光章を受章。これは国家または公共に対し功労のある人物に授与される栄典であり、その功績が高く評価されたことを示しています。そして、2022年10月11日に逝去した際には、その死没日付をもって正四位に叙されました。

峰久幸義氏は、激動する時代の中で、国土整備、交通政策、そして国家的な課題である震災からの復興という、日本の社会基盤と国民生活に関わる重要な分野で指導的な役割を果たした行政官でした。

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