島津一郎

島津一郎

島津一郎（しまづ いちろう、1921年5月 - 2007年1月29日）は、日本の著名な法学者であり、民法と家族法を専門としていました。東北大学で法学博士号を取得後、一橋大学の名誉教授となりました。中川善之助門下として、多くの弟子を育て、日本の法学界に大きな足跡を残しました。

生い立ちと学歴

島津一郎は、横浜市で生まれ、幼少期を過ごしました。1934年3月に埼玉県立師範学校附属小学校（現在の埼玉大学教育学部附属小学校）を卒業し、1941年には旧制武蔵高等学校（現在の武蔵中学校・高等学校）を卒業しました。その後、1943年に東北帝国大学法文学部法科第1類を卒業し、法学の道へと進みました。1962年には東北大学から法学博士の学位を授与されています。

研究活動

1943年、島津は東北大学法文学部助手として研究生活をスタートさせました。1945年には召集を受け、富山連隊に入隊しますが、終戦後に研究活動を再開。1949年には、助手論文「社会家族と自然家族」を執筆し、新設された金沢大学法文学部の法科助教授に就任しました。

金沢大学では、松岡修太郎（憲法学者）とともに法科の基礎を築きましたが、後に他の教授との間で意見の対立が生じ、排斥運動に発展しました。この事件は、当時の北國新聞にも「去るべき」という記事が掲載されるほどでした。

1955年、島津は千葉大学文理学部助教授として新たなスタートを切ります。1964年には同大学の教授に昇進。千葉大学では、長谷川理衛（国際私法学者）と共に法科の設立に尽力し、1967年には人文学部法経学科を設立しました。その後、1967年からは一橋大学法学部の非常勤講師も務め、教育活動の幅を広げました。

1969年から1970年まで、島津はイェール大学ロースクールに留学し、ジョセフ・ゴールドスティン教授に師事しました。帰国後、1970年頃からは、如水会館で東京大学医学部精神衛生教室の逸見武光教授や家庭裁判所調査官らと共同で研究会を開催しました。1970年には一橋大学法学部教授に就任し、1971年4月には川井健とともに、長らく民法の専任教員が不足していた同法学部の充実にも貢献しました。

大学運営と社会活動

島津は研究活動だけでなく、大学運営にも積極的に関わりました。1973年から1978年まで一橋大学評議員、1976年から1978年まで一橋大学法学部長を務めました。1985年に一橋大学を定年退官し、名誉教授の称号を受けました。

退官後も、1985年に創価大学法学部教授に就任し、法学教育に尽力しました。同年には弁護士登録も行い、実務にも携わりました。また、1971年から東京家庭裁判所参与員、1976年から1980年まで法務省法制審議会民法部会委員、1976年から1978年まで日本私法学会理事、1977年から日米法学会評議員、1977年から1982年まで国際家族法学会（ISFL）理事、1982年国際家族法学会副会長、1984年日本家族〈社会と法〉学会理事長など、数多くの公職や学会役員を歴任し、社会に貢献しました。

受賞と晩年

1997年、島津はその長年の功績が認められ、叙勲二等授瑞宝章を受章しました。2007年1月29日、肺炎のため逝去。享年86歳でした。墓所は雑司ヶ谷霊園にあります。

門下生

島津一郎は、多くの優秀な法学者を育成しました。主な門下生として、奥山恭子（横浜国立大学名誉教授）や許末恵（青山学院大学教授）などがいます。これらの門下生たちは、それぞれの分野で活躍し、島津の遺志を受け継いでいます。

島津一郎は、教育者、研究者、社会貢献者として、日本の法学界に多大な影響を与えた人物として、その功績は永く語り継がれるでしょう。

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