島津久儔

島津久儔（しまづ ひさとも）について

島津久儔は、江戸時代後期の武士であり、薩摩藩の有力一門である宮之城島津家の12代目当主です。天明8年（1788年）に、宮之城島津家の前領主であった島津久郷の子として生まれました。母は先代久濃の娘です。

家系

宮之城島津家は、島津氏の祖である島津忠良の三男・尚久を初代とする家系です。代々当主は「図書」を通称とし、忠長以降は薩摩国宮之城を領地としました。久方の代に一所持となり、久倫の代に大身分へと発展しました。家紋は宮之城十文字を使用しています。この家系は、薩摩藩内でも重要な役割を果たしました。

生涯

久儔は、寛政8年（1796年）に藩主・島津斉宣の加冠により元服し、武士としての第一歩を踏み出しました。その2年後の寛政9年（1798年）には、父・久郷の死去に伴い家督を相続し、宮之城島津家の当主となりました。

文化3年（1806年）には、前藩主・斉宣の六男である泰之進を養子に迎えましたが、夭折。その後、文化6年（1809年）には、同じく斉宣の九男である範之進を養子に迎えましたが、こちらも夭折しています。

文化12年（1815年）2月には、藩主・島津斉興が久儔の屋敷を訪れ、牧谿の掛け軸を献上されるという栄誉に浴しました。さらに、文化13年（1816年）2月には、斉興から狩野探幽の掛け軸を贈られています。これらの出来事から、久儔が藩主から厚い信頼を得ていたことがうかがえます。文化的な交流も行っていたことが伺えます。

文政10年（1827年）6月20日、久儔は41歳でこの世を去りました。彼の死後、家督は長男である久中が相続しました。久儔の短い生涯ではありましたが、宮之城島津家の当主として、また薩摩藩の重臣として、その役割を十分に果たしたと言えるでしょう。

参考文献

* 長崎省吾関係文書 平田四郎兵衛〔他〕『宮之城島津家事績』 - 国立国会図書館デジタルコレクション

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