島津久柄

島津久柄（しまづ ひさもと）は、江戸時代中期の日向国佐土原藩の第8代藩主です。

生涯

享保19年（1734年）に第7代藩主・島津忠雅の三男として生まれました。宝暦3年（1753年）に父の隠居により家督を継ぎましたが、藩政は困難の連続でした。明和6年（1769年）には佐土原大地震や城下町の大火事に見舞われ、安永7年（1778年）にも大地震が発生し、藩は甚大な被害を受けました。これらの災害により藩財政は著しく悪化し、久柄は製紙業の専売化を図るなど、財政再建に尽力せざるを得ませんでした。

しかし、久柄には藩主としての統率力に欠ける面があり、そのことが家臣団内部の対立を招き、天明騒動と呼ばれる権力闘争を引き起こしました。このような状況下で、天明5年（1785年）に久柄は家督を三男の忠持に譲り、隠居しました。その後、文化2年（1805年）に72歳で生涯を終えました。

薩摩藩主・島津重豪との関係

久柄は、薩摩藩主・島津重豪（当時は忠洪）とも関係がありました。久柄が家督を継いだ2年後の宝暦5年（1755年）、薩摩藩主・島津重年が死去し、世子の忠洪が藩主となりましたが、幼少であったため、久柄が代理として江戸城に登り、忠洪の襲封の許可を得ました。その後、忠洪は宝暦8年（1758年）に重豪と改名しています。さらに、重豪は、垂水島津家当主で外祖父の島津貴儔の娘を養妹として迎えています。このことからも、久柄と重豪の関係が深く、薩摩藩との関係も密接であったことが伺えます。

系譜

父母
父：島津忠雅
母：鳥居忠瞭の娘

正室
梅：島津重豪の義妹、島津貴儔の娘

側室
酒匂氏

子女
島津忠持（三男）：生母は梅（正室）
島津久充（五男）
島津久儔（六男）
久留島通同正室
九鬼隆張正室
樺山久年室

久柄の時代は、天災や内紛が相次ぎ、藩政は多難を極めましたが、その中で久柄は藩の立て直しに尽力しました。しかし、その統率力の欠如は、藩の混乱を招いたことも事実です。久柄の生涯は、藩主としての苦悩と、激動の時代を生き抜いた一人の人物の姿を物語っています。

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