島津貴儔

島津貴儔：薩摩藩を支えた重鎮

島津貴儔（しまづ たかとも）は、宝永5年（1709年）に生まれ、寛政3年（1791年）に没した江戸時代中期の薩摩藩士です。垂水島津家の9代目当主であり、その生涯は藩政に深く関わり、薩摩藩の歴史において重要な役割を果たしました。

生い立ちと藩政への関与

島津貴儔は、薩摩藩第4代藩主島津吉貴の三男として生まれました。幼名は小源太、諱は久典、後に貴儔と改名。通称は玄蕃、備中、備前。号は静山です。兄に第5代藩主の島津継豊がおり、貴儔はその後見役として藩政に関わることになります。当初は一所持という家格でしたが、後に一門家へと昇格しました。

兄の継豊が病に倒れ、江戸から帰国できなくなったことを受け、貴儔は元文元年（1736年）に父の吉貴から家老座に出席し国政に参与するよう命じられます。この時、席次は家老よりも上とされました。翌年、父の吉貴から「貴儔」の名を与えられ、以降、垂水島津家は代々「貴」の字を通字とするようになりました。

元文3年（1738年）には、娘婿である加治木島津家の島津久門（後の島津重年）とともに、新設された一門家の最初のメンバーとなります。垂水家は当時最下位の席次でしたが、貴儔の代に限り一門家筆頭とされました。これは、貴儔の藩政における功績が大きかったことによる特別措置でした。

藩政における役割

島津宗信の親政開始とともに一時政務から退きましたが、宝暦10年（1760年）に兄の継豊が亡くなると、再び政務に参加し、藩主重豪を後見しました。その間、大老に準ずる存在として藩政を支え、薩摩藩の安定に貢献しました。

安永4年（1775年）に隠居し、家督を養子である貴澄に譲りましたが、その後も藩政に影響力を持ち続けました。孫の島津重豪や島津忠持が藩主となるだけでなく、曾孫である茂姫が第11代将軍徳川家斉の御台所となるなど、その一族は薩摩藩だけでなく幕府にも大きな影響を与えました。

貴儔は、寛政3年（1791年）に82歳で亡くなりましたが、その長寿は孫の重豪に匹敵するほどでした。また、同年11月には玄孫である島津斉興が誕生しており、まさに薩摩藩の歴史を見届けた人物と言えるでしょう。

人物像と家族

島津貴儔は、砲術にも長けており、島津忠広の孫である郷原転から砲術を皆伝していました。外孫である重豪にも砲術を教授したと伝えられています。この砲術の腕前は、次男の末川久救が継承しました。

家族としては、兄弟に島津継豊、島津忠紀、島津貴澄がいました。正室には垂水島津家当主・島津忠直の次女である鎌鶴、継室には肘岡伊右衛門の娘を迎えました。また、妾には伊勢兵部の家臣の娘である山下氏がいました。

子には、島津重豪の母である都美、末川久救、川上久致、島津久兼、日置島津家島津久暢の妻、佐土原藩主島津久柄の正室となった梅がいます。これらの婚姻関係からも、貴儔が薩摩藩内において重要な役割を担っていたことが伺えます。

まとめ

島津貴儔は、薩摩藩の藩政を支え、一門の重鎮として活躍した人物です。その生涯は、薩摩藩の歴史を語る上で欠かせない存在であり、後世に多くの影響を与えました。彼の功績は、薩摩藩の繁栄に大きく貢献したと言えるでしょう。

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