島津忠持

島津忠持は、江戸時代中期に日向国佐土原藩の第9代藩主を務めた人物です。彼は、島津宗家の島津重豪の従弟であり、同時に義理の甥という複雑な関係にありました。幼名は勝丸、通称は又之進といい、官位は従五位下、淡路守に叙せられました。

忠持は、明和3年（1766年）に第8代藩主・島津久柄の三男として誕生しました。天明5年（1785年）には、父の隠居に伴い家督を継ぎ、佐土原藩の藩主となりました。藩主としての忠持は、藩政改革に積極的に取り組み、特に財政再建に力を注ぎました。寛政5年（1793年）には、幕府に対して海防に関する意見書を提出し、国防への意識の高さを窺わせています。また、藩財政を立て直すために、藩士の知行の半分を3年間上納させるという措置を講じました。この政策は、藩財政の改善に一定の効果をもたらしたと考えられています。

さらに、忠持は藩士の教育にも熱心でした。崎門学派の儒者である御牧直斎を招き、藩士たちに学問を奨励しました。これは、藩士の知識や教養を高め、藩全体の質を向上させることを目的としたものでしょう。文化13年（1816年）には、長男の忠徹に家督を譲り、隠居の身となりました。しかし、隠居後も忠持は活動を続け、文化14年（1817年）には、全国の山々で修行を終えた野田泉光院と会見しています。天保2年（1831年）1月26日に、66歳でその生涯を閉じました。

忠持の系譜をみると、父は島津久柄、母は島津重豪の義妹である梅（島津貴儔の娘）です。正室は、島津重豪の養女で、島津久徴の娘である雅姫（明子とも）でした。雅姫との間には長男の忠徹が生まれ、他に次男の小川久徳、三男の島津久業がいます。このように、島津忠持は、藩主としてだけでなく、教育者、文化人としての側面も持ち合わせた人物であり、佐土原藩の発展に大きく貢献しました。

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