島津久通

島津久通（しまづ ひさみち）

島津久通は、江戸時代前期に薩摩藩で活躍した武士であり、宮之城島津家の第4代当主です。宮之城島津家は、島津忠良の三男・尚久を祖とする家系で、代々「図書」を通称としていました。久通は、その中でも特に優れた手腕を発揮し、藩政に大きく貢献しました。

生い立ちと武道

慶長9年（1605年）、島津氏家臣・新納忠在の長男として生まれた久通は、幼少期から武士としての教育を受けました。元和元年（1615年）に元服すると、寛永4年（1627年）には薩摩藩初代藩主・島津家久に従って江戸へ赴きます。江戸滞在中に、荒木元政に入門して荒木流馬術を修め、その伝書を受けるなど、武芸にも秀でていました。

永野金山の発見と開発

寛永17年（1640年）、久通は永野金山を発見しました。この金山は、一時は佐渡金山をしのぐほどの産出量を誇り、薩摩藩の財政を潤しました。しかし、幕府の命により、寛永19年（1642年）から明暦2年（1656年）にかけて採掘は一時中断されました。この金山発見は、久通の功績の中でも特に重要なものとして知られています。

家督相続と藩政への貢献

寛永20年（1643年）、父・久元の死去に伴い、宮之城島津家の家督を相続しました。その後、正保2年（1645年）には、2代藩主・島津光久の命により家老に就任し、藩政を担う重責を担います。家老として、「島津世録」八巻の編纂に携わるなど、藩の歴史編纂にも貢献しました。

犬追物への参加と河川改修

正保4年（1647年）には、藩主・光久が3代将軍・徳川家光を招いて武蔵国王子村で犬追物を開催した際、久通は射手を率いて参加し、将軍に拝謁しました。さらに、寛文2年（1662年）には、藩主・光久の命を受けて新田開発のために天降川の河川改修に着手し、4年後の寛文6年（1666年）にこれを完成させました。

隠居と晩年

寛文12年（1672年）、久通は隠居し、家督を子の久竹に譲りました。延宝2年（1674年）11月29日、71歳で死去しました。

人物像

久通は、髭が濃い容貌から「髭図書殿」と呼ばれ、また、法号から「徳源様」として民衆から親しまれました。また、儒学者林春斎の門人として、江戸滞在中は度々教えを受けるなど、学問にも熱心でした。武道、藩政、文化と多岐に渡る分野で才能を発揮した人物でした。

参考文献

* 長崎省吾関係文書 平田四郎兵衛〔他〕『宮之城島津家事績』 - 国立国会図書館デジタルコレクション

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