島津守久

島津守久は、室町時代前期に活躍した武将で、島津氏の分家である総州家の3代目当主です。彼は、激動の時代を生き抜き、一族の興亡に深く関わることになります。

守久は、川内碇山城を本拠としていましたが、父である島津伊久と激しく対立していました。明徳4年（1393年）、ついに守久は父の居城である川辺城を包囲するという強硬手段に出ます。しかし、この行動は、大隅国守護職であり、奥州家2代当主である島津元久の介入を招きます。元久の説得により、守久は川内へ退却を余儀なくされました。この事件の結果、伊久と守久は居城を交換し、伊久は薩摩守護職と伝家の家宝を元久に譲り渡すことになります。守久は薩摩守護職を継ぐことができず、その後、出水城に居を構えることになりました。

しかし、守久の苦難はこれで終わりませんでした。守久の子である久世は、伊集院頼久の乱において、奥州家の島津久豊によって殺害されてしまいます。さらに、応永29年（1422年）には、守久自身も久豊の子である忠国によって攻められ、孫の久林と共に海路で肥前国へと逃れることになります。

守久が逃れた後も、総州家の運命はさらに悲劇的な結末を迎えます。永享2年（1430年）、守久の孫である久林が、忠国の急襲を受けて自害。これにより、総州家は断絶という形で歴史に幕を閉じることになりました。

島津守久の生涯は、室町時代の武士の姿を象徴していると言えるでしょう。父との確執、権力闘争、一族の滅亡など、彼の人生は、激動の時代を生きる武士の厳しさ、そして、その中で繰り広げられる人間模様を、私たちに伝えてくれます。

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