島津忠親

島津忠親（しまづ ただちか）

島津忠親は、戦国時代に日向国（現在の宮崎県）で活躍した武将です。出自は日向都城の領主であった北郷氏で、9代当主・北郷忠相の長男として永正9年（1512年）に生まれました。当初は北郷氏を継ぐ立場でしたが、後に島津氏の分家である豊州家を継承し、その生涯は波乱に満ちたものでした。

北郷氏から豊州家へ

天文15年（1546年）、豊州家当主・島津忠広の養子であった島津賀久が亡くなったことを受け、忠親は北郷氏の家督を長男・北郷時久に譲り、自らは豊州家の養子となりました。そして、天文18年（1549年）には養父の隠居により、豊州家の家督を継ぐことになります。

豊州家は、代々日向伊東氏の侵攻に悩まされていました。忠親もまた、伊東氏の度重なる攻勢に苦しめられることになります。当初は持ち前の武勇で伊東氏の侵攻をしのいでいましたが、次第に伊東氏の圧力は増大していきました。

飫肥城をめぐる攻防

永禄3年（1560年）、島津宗家15代当主・島津貴久は、次男で勇猛な武将として知られる島津義弘を忠親の養子とし、飫肥城の守備を任せました。これは、伊東氏の勢力に対抗するための戦略的な措置でした。しかし、永禄5年（1562年）に義弘が島津貴久の命で飫肥城を去ると、伊東義祐は直ちに飫肥城を攻撃。忠親は、一時的に伊東義祐と和解し城を明け渡しましたが、数ヶ月後には夜襲をかけ、城を奪還するという離れ業をやってのけました。

しかし、永禄11年（1568年）、伊東義祐は2万の大軍を率いて再び侵攻を開始。島津宗家の援軍を退けつつ、飫肥城を包囲しました。島津宗家は、この状況を鑑みて飫肥を放棄することを決定。兵糧攻めに遭っていた忠親は、やむなく城を脱出し、飫肥城はついに陥落しました。この時、忠親はさぞ無念だったことでしょう。

晩年と死

飫肥城を失った後、忠親は庄内（都城）に移り住み、元亀2年（1571年）に同地で病死しました。享年68歳。生涯を通じて伊東氏との戦いに明け暮れ、波乱に満ちた人生を送りました。忠親の死後も、豊州家は島津氏の一員として存続し、歴史に名を残すことになります。

島津忠親は、北郷氏から島津氏へと、その身を転じながらも、激動の戦国時代を生き抜いた武将でした。その勇猛さと不屈の精神は、後世に語り継がれています。


参考文献
『本藩人物誌 鹿児島県史料集第13集』鹿児島県立図書館、1973年
『都城盆地 史跡ガイドブック ①旧都城市編』南九州文化研究会、2014年

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