島津忠麿

島津忠麿：明治・大正期の政治家、華族

島津忠麿（しまづ ただまろ）は、1877年（明治10年）5月4日に生まれ、1926年（大正15年）9月20日に没した、明治から大正時代にかけての政治家であり、華族でした。彼は、旧佐土原藩主家当主であった島津忠亮の長男として生を受けました。

経歴

忠麿は、父の死去に伴い、1909年7月23日に伯爵の爵位を襲爵しました。学習院を修了後、1911年7月10日には貴族院伯爵議員に選出され、1918年7月9日までの約7年間、その任を務めました。議員としての活動と並行して、国光生命保険相互会社では取締役、後に社長として経営に携わり、その資産は100万円以上と評されるほどでした。これは当時の金額としては非常に大きなものであり、彼の経済的な手腕を示すものと言えるでしょう。

親族

忠麿の家族関係は複雑であり、彼の生涯を語る上で欠かせない要素です。妻は真田幸民の長女である島津松子で、彼女との間に3人の娘をもうけました。しかし、3人とも結婚はしたものの、全員が忠麿に先立って亡くなっています。また、彼は島津忠義の七男である島津久範を養子に迎えました。

妻: 島津松子（真田幸民長女）
3人の娘をもうけるが、いずれも早世。
養子: 島津久範（島津忠義七男、式部官）
孫: 島津忠韶（久範長男、佐土原島津家嗣子）、島津久永（久範二男）
長女: 島津随子（久範先妻）：1921年に21歳で早世。子をなしていません。
二女: 九条文子（九条道秀夫人）：1942年に41歳で死去。九条道秀との間に子供はいません。
三女: 島津秀子（久範後妻）：姉の随子の死後、久範と結婚。雅子(勧山弘夫人)、敏子(萩原光雄夫人)、忠韶を産むが、1928年に23歳で早世。
妹: 島津徳子（島津久中夫人）
弟: 島津健之助（男爵）、阿部正寛（阿部正功養子）

特に注目すべきは、養子の島津久範とその家族関係です。久範は忠麿の長女・随子と結婚しましたが、彼女は若くして亡くなりました。その後、久範は随子の妹である秀子と再婚し、3人の子供をもうけました。しかし、秀子もまた若くして亡くなっています。また、二女の文子は九条道秀と結婚しましたが、後に離婚したと推測されています。この複雑な家族構成は、当時の華族社会における人間関係の一側面を映し出していると言えるでしょう。

島津忠麿は、政治家、実業家、そして家族の一員として、激動の時代を生きました。彼の人生は、明治から大正にかけての日本の社会構造、特に華族社会のあり方を考える上で重要な手がかりとなるでしょう。

参考文献

人事興信所編『人事興信録 第7版』人事興信所、1925年。
『貴族院要覧（丙）』昭和21年12月増訂、貴族院事務局、1947年。
衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。
霞会館華族家系大成編輯委員会編『平成新修旧[[華族家系大成]] 上巻』社団法人霞会館、1996年。
杉謙二編『華族畫報 上』吉川弘文館、2011年（華族画報社大正2年刊の複製）。

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