島田伊智郎

島田 伊智郎

石川県に生まれた日本の映画監督、演出家である島田 伊智郎（しまだ いちろう）は、1977年に生を受けた。

彼のキャリアは、日本映画学校（現在の日本映画大学）での学びから始まった。同学園の第13期生として映画製作の基礎を習得。同期には、後に映画監督となるジョン・ヒジリ氏や、編集技師として活躍する小池義幸氏らが名を連ねている。在学中に望月六郎氏と出会ったことが、島田氏が映画界へ足を踏み入れる決定的な契機となった。望月氏に現場へ誘われたことから、プロの世界へと歩み出すことになる。

業界入り後、島田氏は助監督、制作進行、録音助手といった様々な役職を経験し、映画製作の現場の多様性を深く理解していった。多岐にわたる職務をこなす中で、彼は望月六郎氏からの示唆に富む言葉「人間をなめるな」に触れる。この言葉は、彼に演出とは何か、人間描写の奥深さとは何かを深く考えさせるきっかけとなり、自身の映画観を形成する上で重要な影響を与えた。

助監督としては、日本映画界を代表する監督たちの下で研鑽を積んだ。原田眞人氏、成島出氏、篠原哲雄氏といった実力派監督の作品に主に携わり、現場での実践的なスキルと演出手法を学んでいった。これらの経験は、彼が自身の監督作品を手掛ける上でかけがえのない財産となった。

長年にわたる助監督としての経験を経て、島田伊智郎氏はついに自身の作品を世に問うこととなる。2022年に公開された自主制作映画『消えない虹』で、劇場公開用映画としては初となる監督デビューを果たした。この作品は、彼の監督としての力量を示すものとなった。

助監督やその他の立場で参加した作品は数多く、そのフィルモグラフィーは多岐にわたる。主な映画作品には、『クライマーズ・ハイ』（原田眞人監督）、『わが母の記』（原田眞人監督）、『孤高のメス』（成島出監督）、『八日目の蝉』（成島出監督）、『ソロモンの偽証』（成島出監督）といった著名な作品が含まれる。これらの作品での経験が、後の監督活動に活かされていることは想像に難くない。

彼の参加作品の一部を以下に示す。

主な参加映画作品:

『わらびのこう 蕨野行』（監督：恩地日出夫・2003年）
『風音』（監督：東陽一・2004年）
『戦国自衛隊1549』（監督：手塚昌明・2005年）
『タッチ』（監督：犬童一心・2005年）
『魍魎の匣』（監督：原田眞人・2007年）
『バッテリー』（監督：滝田洋二郎・2007年）
『クライマーズ・ハイ』（監督：原田眞人・2007年）
『ニセ札』（監督：木村祐一・2009年）
『孤高のメス』（監督：成島出・2010年）
『BANDAGE』（監督：小林武史・2010年）
『八日目の蟬』（監督：成島出・2011年）
『わが母の記』（監督：原田眞人・2012年）
『百年の時計』（監督：金子修介・2012年）
『生け贄のジレンマ』（監督：金子修介・2013年）
『スイートハートチョコレート』（監督：篠原哲雄・2013年）
『ソロモンの偽証』（監督：成島出・2015年）
『プリンシパル』（監督：篠原哲雄・2018年）
『いつまた、君と ～何日君再来～』（監督：深川栄洋・2017年）
『星めぐりの町』（監督：黒土三男・2018年）
『３Ｄ彼女 リアルガール』（監督：英勉・2018年）
* 『ブラック校則』（監督：菅原伸太郎・2019年）

テレビドラマにおいても、ANB系列で2001年に放送された『君の手がささやいている』に助監督として参加するなど、活動の幅を広げている。

長年の現場経験と、望月六郎氏から受け継いだ「人間をなめるな」という言葉を胸に、島田伊智郎氏がこれからどのような人間ドラマを描き出していくのか、映画界からの注目が集まっている。

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