崇福寺 (福岡市)

崇福寺について

崇福寺は、福岡県福岡市博多区千代にある臨済宗大徳寺派の寺院です。この寺院は、同派の九州における重要な拠点の一つであり、福岡藩主であった黒田家の菩提寺としても知られています。その歴史は古く、創建から現在に至るまで、様々な変遷を経験してきました。

歴史

崇福寺の始まりは1240年（仁治元年）に遡ります。当初は太宰府の横岳に湛慧によって建立されました。翌年の1241年（仁治2年）には、円爾が開堂し、無準師範から「勅賜萬年崇福禅寺」の寺号を与えられました。1243年（寛元元年）には、後嵯峨天皇から「西都法窟」の勅額を下賜され、官寺としての地位を確立しました。

その後、13世紀後半には南浦紹明が住持を務め、16世紀末には岩屋城の戦いで焼失しましたが、再建されました。17世紀初頭には、黒田長政によって現在地に移され、黒田家の菩提寺としての役割を担うことになります。この移転に伴い、寺域は拡大し、福岡藩からの庇護を受けました。

明治時代には、廃仏毀釈の影響で一時的に荒廃しましたが、19世紀末に渡辺玄外によって再整備されました。しかし、1945年（昭和20年）の福岡大空襲により、多くの伽藍が焼失する被害を受けました。戦後、黒田家の墓所が整備・改葬され、規模は縮小されましたが、一部の伽藍は復元されました。2005年には、火災により一部の建物が焼失するという悲劇もありましたが、現在も多くの文化財と歴史を伝えています。

文化財

崇福寺には、数多くの文化財が残されています。その中でも特に重要なものとしては、以下のようなものが挙げられます。

山門: これは、かつて福岡城の本丸表御門であったものを移築したもので、県指定有形文化財に指定されています。二層造の本瓦葺の切妻造で、その壮麗な姿は見る人を魅了します。
唐門: 名島城の遺構を移築したもので、こちらも県指定有形文化財です。
仏殿: 同じく県指定有形文化財に指定されています。
紙本墨画出山釈迦像: 県指定有形文化財であり、仏教美術の貴重な資料です。
* 絹本著色黒田孝高・長政像: 黒田家の歴史を物語る肖像画で、県指定有形文化財です。

また、境内には、旭地蔵尊が祀られており、日切地蔵として親しまれています。この地蔵尊は、随乗坊湛慧が隠棲した場所に建立され、多くの人々の信仰を集めています。

黒田家墓所

境内には、黒田孝高（如水）や長政をはじめとする歴代福岡藩主の墓所があります。これらの墓所は、福岡藩の歴史を語る上で非常に重要な場所です。当初の墓所は広大でしたが、戦災により焼失し、戦後に改葬されました。現在では、整備された墓所が公開されており、多くの人々が訪れています。

その他

崇福寺には、京極高豊の正室である市子が寄進した荘厳具が伝えられています。これは、市子の母である宝厳院筑姫が亡くなった際、黒田家が法要を行った際に寄進されたもので、母と娘の絆を象徴する貴重なものです。

また、境内には、博多の豪商であった島井宗室や高場乱、大森治豊の墓所もあります。これらの墓所は、博多の歴史を物語る上で重要なものです。

周辺施設

崇福寺の周辺には、福岡県庁舎や九州大学病院、福岡市立千代中学校などの施設があります。交通の便も良く、福岡市地下鉄箱崎線千代県庁口駅や西鉄バス・JR九州バス千代町バス停から徒歩圏内です。

現在

現在、崇福寺は、福岡の歴史と文化を伝える重要な場所として、多くの人々に親しまれています。寺院の美しい景観や貴重な文化財は、訪れる人々を魅了し続けています。

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