崔恭

崔恭（さい きょう）は、明代中期に活躍した官僚であり、その生涯は地方行政から中央政界まで、多岐にわたる役職を歴任し、各地で顕著な功績を残しました。字は克譲といい、順徳府広宗県の出身です。

1436年、進士に及第し、官僚としてのキャリアをスタートさせました。最初に任じられたのは戸部主事であり、延綏の倉の備蓄管理を担当しました。この職務において、崔恭は卓越した能力を発揮し、その名を知られるようになりました。その後、楊溥の推薦により、萊州知府に抜擢され、地方行政官としての才能を本格的に開花させます。萊州では、長年放置されていた倉庫の老朽化問題に対処し、布の適切な保管と管理体制を確立しました。また、民兵を率いて国の危機に際して援軍を派遣するなど、地方官としての責任を全うしました。

1449年、オイラトのエセン・ハーンが北京に侵攻した際には、萊州の民兵数千を率いて援軍として駆けつけました。また、朝廷が臨清に築城を命じた際には、民の困窮を考慮して時期を延期するよう進言し、民衆から後漢の楊震に匹敵すると賞賛されました。

1452年には、湖広右布政使に昇進し、公安県と監利県で発生していた流民同士の紛争を解決に導きました。1453年には江西左布政使に転じ、引き続きその行政手腕を発揮しました。

1458年、寧王朱奠培の不正を弾劾し、寧王の護衛を削減させ、逼塞させることに成功しました。その後、右副都御史に転じ、蘇松諸府の巡撫として、運河の浚渫や呉淞江の治水事業に尽力し、地域の水利改善に貢献しました。

1460年、李賢と王翺の推薦により、中央に召還され吏部右侍郎に任じられました。勧懲簿を設けて記録を残し、吏部尚書の王翺から深く信頼されました。1461年には吏部左侍郎に進みますが、父の死去により一時辞職し、喪に服しました。喪が明けた後、吏部左侍郎に復帰し、1469年には吏部尚書に昇進しました。しかし、母の死去により再び辞職し、喪に服しました。

1471年、南京吏部尚書として復帰し、諸司の不正を糺しました。その後、参賛機務を命じられましたが、1477年に致仕し、官界を引退しました。1479年に死去し、太子少保の位を追贈され、諡は荘敏と贈られました。

崔恭は、その生涯を通じて、地方行政と中央政界の両方で、優れた行政能力と公正な人柄を発揮し、民衆の生活安定と国家の発展に大きく貢献しました。その功績は明史にも記録され、後世に語り継がれています。

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