嵐芳三郎 (6代目)

六代目嵐芳三郎（1935年8月22日 - 1996年8月22日）は、歌舞伎役者、俳優として知られ、前進座を代表する役者の一人でした。屋号は豊島屋。幼名は嵐芳夫と名乗っていました。

東京都出身で、本名は寺田敏晃。歌舞伎役者の家系に生まれ、高祖父に二代目嵐璃珏、祖父に四代目嵐芳三郎を持つという、まさに歌舞伎の血筋を受け継いでいます。父は五代目嵐芳三郎。弟には俳優の嵐圭史、声優の麦人がおり、妹には女優の寺田路恵、シャンソン歌手の広瀬節子がいます。妻は日本舞踊家の藤間多寿史で、長男は六代目河原崎國太郎、次男は七代目嵐芳三郎という、家族もまた演劇の世界で活躍しています。

1939年に「襲われた町」で四代目嵐市太郎を名乗り初舞台を踏み、幼い頃から舞台に立っていました。この時の芸名は嵐芳夫でした。1951年に前進座に入座し、以後、女形として才能を開花させます。1978年には六代目嵐芳三郎を襲名し、その名跡を継ぎました。

1982年に中村翫右衛門が亡くなった後は、五代目河原崎國太郎や弟の嵐圭史、四代目中村梅之助らと共に前進座の中心的な俳優として活躍し、舞台を盛り上げました。彼の代表作としては、『俊寛』の千鳥、『女殺油地獄』のお吉、『勧進帳』の義経などがあげられます。

舞台での活躍の他、テレビドラマにも出演しており、『遠山の金さん捕物帳』、『達磨大助事件帳』、『助け人走る』、『必殺仕事人』など、時代劇を中心として幅広い役を演じました。

1996年8月22日、中日劇場での公演『左の腕』の稽古中に急性心筋梗塞により急逝。享年61歳でした。その突然の死は多くの人々を悲しませました。墓所は台東区の一乗寺にあり、戒名は修芳院伎照日晃居士です。

六代目嵐芳三郎は、その華やかな容姿と卓越した演技力で、多くの観客を魅了しました。歌舞伎の世界において、女形としての確固たる地位を築き上げ、前進座の歴史にその名を深く刻みました。彼の功績は、今もなお多くの人々に語り継がれています。

主な舞台出演作品

俊寛（千鳥）
女殺油地獄（お吉）
心中天網島（おさん）
勧進帳（義経）
さぶ（栄二）
鳴神（絶間姫）
出雲の阿国（伝介）
絵本合法衢
お六と願哲―杜若艶色紫
左の腕

主なテレビドラマ出演

遠山の金さん捕物帳 第47話「遠眼鏡で見た女」（1971年、NET）- 水木一之丞
達磨大助事件帳 第6話「血染めの恋友禅」（1977年） - 嵐橘十郎 / 佐吉（二役）
助け人走る 第32話「偽善大往生」（1974年、ABC / 松竹） - 外村半四郎
必殺仕事人 第47話「悔し技情念恋火攻め」（1980年、ABC / 松竹） - 幸助

その他、日本剣客伝、ふりむくな鶴吉、虹の花、若さま侍捕物帳などにも出演しています。

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