川原毛地獄

川原毛地獄とは

川原毛地獄は、秋田県湯沢市高松番沢に位置する、活発な噴気活動が続く地帯であり、古くから霊場として知られています。青森県の恐山、富山県の立山と並び、日本三大霊地の一つとされています。標高約800mに位置し、広さ1.0×0.4kmの範囲にわたって灰白色の特異な景観が広がっています。この景観は、塩酸酸性の熱水噴出によって溶結凝灰岩が珪化したことによって形成されました。また、水蒸気爆発によってできた爆裂火口も存在し、現在も火山ガスの噴出など活発な活動が続いています。

地質

川原毛地獄は、約600万年前の大規模な火砕噴火によって形成された三途川カルデラのほぼ中央部に位置しています。高松岳はカルデラの中央部にあり、30万年前から20万年前にはデイサイト質の溶岩流や火砕流堆積物を形成しました。20万年前以降はカルデラ内でのマグマ噴火の痕跡は見られませんが、現在も高松岳を中心に地熱温度が非常に高く、小安峡温泉や泥湯温泉など豊富な温泉資源に恵まれています。また、地熱エネルギーを利用した上の岱地熱発電所も設置・稼働しています。

川原毛地獄は、その後の水蒸気爆発が繰り返されて形成された爆裂火口です。周辺では硫化水素を含む火山ガスが噴出し、噴気孔周辺には硫黄結晶が析出しています。1623年から1966年まで硫黄の採掘が行われていました。

生態

この地域には、ヤマタヌキランという植物が生息していますが、これはこの場所を好んで生息しているわけではありません。噴気孔から離れた中性寄りの土壌環境で生育が旺盛になることがわかっています。近縁種のタヌキランとの種間相互作用により、この場所に追いやられたと考えられています。

川原毛地獄の歴史

807年、月窓和尚が霊通山前湯寺を建立したことが、霊場としての始まりです。恐山、立山と共に日本三大霊地として数えられ、女人禁制の修験の地でした。月窓和尚が周辺の奇岩や池を血の池地獄や針山地獄など136ヵ所の地獄に見立てたことが、「川原毛地獄」の名称の由来とされています。

829年には、円仁（慈覚大師）が当地を訪れ、法螺蛇地蔵と自作のお面を奉納しました。1393年には、前湯寺が三途川の十王坂に移築され、その後、1459年に現在の湯沢市稲庭町字小沢に移築され、寺号を「嶺通山広沢寺」と改めました。1623年からは久保田藩が硫黄採掘場として採掘を開始し、1966年まで続けられました。1987年には、川原毛地蔵菩薩が建立されています。

アクセス

• - 乗用車：湯沢横手道路・須川ICから秋田県道51号湯沢栗駒公園線で約20分。泥湯温泉からは約5分。

周辺情報

• - 川原毛大湯滝
• - 泥湯温泉
• - 上の岱地熱発電所
• - 小安峡

参考文献

• - 東北芸術工科大学東北文化研究センター編『東北学08』はる書房、2016年。

関連項目

• - 秋田県の観光地

外部リンク

• - 湯沢市公式観光サイト
• - 川原毛地獄・川原毛大湯滝パンフレット
• - 湯沢市物産観光情報
• - 第四紀火山 高松岳

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