川原町 (前橋市)

川原町（かわはらまち）

群馬県前橋市の町名で、利根川の東岸、前橋市の西部地域に位置します。町域は「川原町」と、区画整理を経て新設された「川原町一丁目」「川原町二丁目」で構成されています。郵便番号は371-0046です。2014年9月末時点の統計によると、この地域の人口は2,430人、世帯数は926世帯であり、総面積は1.39平方キロメートルとなっています。

地理的には、北側を北群馬郡吉岡町大字漆原、東側を前橋市の関根町および荒牧町、南側を緑が丘町と接しています。西側には国体道路が通り、利根川に架かる上毛大橋の東詰にあたる交通の要所です。上毛大橋からそのまま続く群馬県道161号南新井前橋線は、川原町一丁目と川原町二丁目の境界線の役割を担っています。

この町域を潤す主要な河川は、町の西側を流れる利根川です。

地価の動向を見ると、2014年7月1日に行われた都道府県地価調査では、住宅地として指定された「前橋-1」地点で平方メートルあたり64,000円の価格が観測されました。この地点の地価は、調査が開始された1997年以来、長らく下落傾向が続いていましたが、2014年には初めて前年比0.0%の変動率を示し、下げ止まりを見せました。これは、同年の前橋市内住宅地において、地価が上昇した地点（南町、紅雲町、文京町、六供町、大友町の一部）に次いで、需要が高い住宅地の一つであることを示唆しています。

かつて川原町内に存在した小字名としては、西古川、東古川、大泥（「ヲエン岩」とも称されました）、笹塚、東通、村東（「黒岩」とも）、臺（台）、赤石、西原、弁天前、押切嶋、西通などがありました。現在も残る小字名としては、国体道路西側の地域に小石原と南原が、群馬県立ぐんま学園より北側の市街化調整区域内に北原が、そして町域南東部で川原町一丁目や荒牧町、敷島町に囲まれた地域に蛇原があります。

川原町の歴史は、1625年（寛永2年）に高崎城主安藤対馬守の命によって利根川の中州が開発され、「河原島新田」と呼ばれたことに始まります。以降、この地は高崎城主の所領となりました。一時、漆原村（現在の吉岡町大字漆原）に編入された後、1661年（寛文元年）に分離しましたが、利根川の流路変更の影響で、その後も漆原村との間で編入・分離が幾度となく繰り返されました。江戸時代を通じて、安藤氏、天領、米倉氏、幕府旗本などの領有が目まぐるしく変わります。明治維新後は前橋藩を経て群馬県に属し、再び漆原村と合併しますが、1879年（明治12年）には川原島新田村として独立しました。町村制施行に伴い、1889年（明治22年）には周辺12か村と合併して南勢多郡南橘村の一部となり、1916年（大正5年）に大字名が「川原島新田」から「川原」に改称されました。1954年（昭和29年）には、南橘村が前橋市に編入されたことで、前橋市川原町が誕生しました。その後も、1964年の川原土地区画整理事業による緑が丘町の成立、1976年の川原第二土地区画整理事業による敷島町や緑が丘町への一部編入など、周辺町との境界変更や整備が進み、2010年（平成22年）の川原第三土地区画整理事業換地により、現在の川原町一丁目および二丁目が設置されました。

交通に関しては、町内に鉄道駅はなく、最寄りの駅は利根川の対岸にあるJR上越線の群馬総社駅です。道路網としては、主要幹線である赤城国体道路と群馬県道161号南新井前橋線が町内を通っています。バス路線は関越交通が運行しており、前橋駅や新前橋駅と川原町方面を結ぶ路線が利用できます。主なバス停留所としては、川原町南、川原町、川原町北、市杵島神社入口、上毛大橋東などがあります。

町内には様々な施設が点在しています。丁目表示のない地域には、児童自立支援施設である群馬県立ぐんま学園や、前橋市立荒牧小学校・南橘中学校みやま分校があります。川原町一丁目には、天台宗寺院の大興寺や市杵島神社、前橋川原郵便局、ヤマト運輸の事業所などが所在しています。川原町二丁目には、株式会社ジンズの本社をはじめ、富士スバル、しみずスーパー、ファッションセンターしまむら、マルエ薬局といった商業施設が集まっています。

川原町の景勝地として知られるのが「於艶岩（お艶が岩）」です。かつては字大泥地区（現在の敷島町北部）の利根川沿いにあった巨大な岩で、郡村誌によれば高さ約4.2メートル、淡赤色をしていたと伝えられます。総社町と上小出村、川原島新田の三村の境に位置していたとされ、現在はこの岩が敷島公園のボート場南側の池に移設されています。岩の近くにはその由来や伝説を記した石碑が建てられています。この岩には、お艶という娘の悲しい恋の物語や、大阪城を脱出した淀君が世をはかなんでこの岩から身を投げたという伝説など、様々な言い伝えが残されています。また、前橋市立図書館南橘分館に所蔵されている資料には、この岩が岩神稲荷神社の「岩神の飛石」と同様に、火山の噴火によって運ばれてきた可能性についても考察されています。

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