川原神社

川原神社について

川原神社（かわはらじんじゃ）は、愛知県名古屋市昭和区に鎮座する歴史ある神社です。この神社は『延喜式神名帳』に記載されている尾張国愛智郡「川原神社」として特定されていますが、他の説も存在します。

歴史

この神社は江戸時代まで「神明」と呼ばれており、弁才天が祀られていたため、地域では「弁天様」と親しまれてきました。飯田街道沿いに位置し、江戸初期から信仰を集めており、慶長6年（1601年）に松平忠吉から神領が寄進され、寛文4年（1664年）には徳川光友が豊作を祈願したという伝承も残されています。ただし、社伝は焼失しており、創建の年代についてははっきりとした記録がありません。

中世には仏教的な側面がある「嶋寺」という寺院が存在していたとされますが、江戸中期には荒廃していたことが伝えられています。天和元年（1681年）には黄檗宗の僧侶がこの寺を復興し、弁財天が祀られるようになりました。しかし、神仏分離の影響で弁財天は近くの大平寺へと移転されました。

江戸時代の天野信景によって、この神社が『延喜式神名帳』に載る川原神社に当たると比定され、それ以降この説が定説となりました。ただし、天野の比定は「川」という字の一致からであり、具体的な根拠に欠けていたため、江戸後期の郷土史家津田正生はこれに疑問を持っています。式内社「川原神社」の他の選考地としては鳴海八幡宮が提唱されています。

神殿は第二次世界大戦中に焼失後、再建されましたが、1992年（平成4年）に再度火災に見舞われ、1998年（平成10年）に新たに建設されきました。

境内の様子

地元では「川原神社」よりも「川名の弁天様」として広く知られています。大正時代には、この地域で小舟が見つかっており、かつては入り組んだ海岸線の入り江であったことが伺えます。毎月3日と8日には朝市が開催され、多くの人々で賑わいます。境内は木々に囲まれ、保存樹としてクスノキやアラカシも多く見られます。また、結婚式場としても利用されることがあります。

弁天池について

境内には「弁天池」という名の池があり、ここにも弁才天が祭られていますが、神仏分離によってお近くの曹洞宗太平寺に祀られるようになりました。祭神としては市杵嶋姫命が知られており、池内には多くのカメが棲息しています。江戸時代の書物『尾張名所図会』にもカメの姿が描かれており、民家にカメが現れることもあり、その際には酒を与えた後池に返すという風習があります。2003年の石垣の修復作業中には357匹ものカメが見つかりましたが、近年ではミドリガメが問題になっており、多くは駆除され、在来種のニホンイシガメやクサガメが主に見られるようになっています。

末社と年中行事

境内には複数の末社が配置されています。具体的には、弁天社、津島社、川名天神社、猿田彦社、戸隠社、秋葉社、龍神社、川名社、川名稲荷社が存在します。また、年間を通じてさまざまな年中行事が行われ、地域の人々が活動に参加しています。

交通アクセス

川原神社へのアクセスは、名古屋市営地下鉄鶴舞線の「川名駅」から徒歩で約5分です。また、名古屋市営バスの「弁天前」バス停の近くに位置しており、「広路通五丁目」や「広路小学校」からもアクセス可能です。

川原神社は地域に根付いた歴史と文化を感じることができるスポットであり、訪れる人々に様々な体験を提供しています。

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