川喜田壮太郎

川喜田壮太郎は、1904年（明治37年）8月19日に三重県津市で、旧家川喜田家の長男として生まれました。1972年（昭和47年）9月27日にその生涯を閉じました。彼は、銀行家としての顔を持つ一方で、文化人としても多才な才能を発揮し、幅広い分野で活躍しました。

銀行家としての活動

1928年（昭和3年）に法政大学経済学部を卒業後、日本銀行に入行しました。その後、1936年（昭和11年）に百五銀行へ移籍し、1951年（昭和26年）には同行の頭取に就任。後に会長も務め、三重経済界のトップとして、戦中・戦後の困難な時代を乗り切る手腕を発揮しました。また、菱川合資の代表や相互商事の社長、東海製鉄の役員なども歴任し、多方面でその経営手腕を発揮しました。

文化人としての活動

文化人としての川喜田壮太郎は、父である川喜田半泥子が設立した石水会館を石水博物館へと発展させ、地域の文化振興に大きく貢献しました。この石水博物館は、地域文化の拠点として重要な役割を果たしています。また、彼はアマチュア映画作家としても知られ、その作品は東京国立近代美術館フィルムセンターに寄贈され、貴重な文化遺産として保存されています。

著書

川喜田壮太郎は、著作活動も行っており、以下の書籍を出版しています。

『南洋の旅 写真と日記』（1940）
『ソ連とイランの画信』（丸善、1965）
『紙つぶて』（東亜印刷、1967）
『随想』（別所書店、1969）

これらの著作は、彼の多岐にわたる興味や関心を示すとともに、当時の時代背景や社会情勢を理解する上で貴重な資料となっています。

親族

川喜田壮太郎は、芸術と文化に深い関わりのある家系に生まれました。父は陶芸家としても著名な実業家である川喜田半泥子（川喜田久太夫）、実弟はKJ法を創り出した文化人類学者の川喜田二郎です。また、岳父は日本銀行理事・三和銀行初代頭取の中根貞彦という、名家とのつながりもありました。妻のハルは、中根貞彦の長女で、女子学習院出身です。子どもたちもそれぞれ、各界で活躍しました。

長男：川喜田貞久（昭和9年生まれ） - 慶應義塾大学政治卒、百五銀行取締役
二男：冬二（昭和10年生まれ） - 学習院大学卒、三菱油化勤務
三男：敦（昭和13年生まれ） - 法政大学卒、山林自営
長女：渚（昭和16年生まれ） - 立教大学卒、安居伸浩に嫁す
二女：さつき（昭和19年生まれ） - 国立音楽大学卒

参考文献

『昭和人名辞典Ⅲ』（日本図書センター、1994）
『人物物故大年表 日本人編 Ⅱ』（日外アソシエーツ、2006）

外部リンク

公益財団法人石水博物館

川喜田壮太郎は、銀行家として経済界を牽引する一方で、文化人として地域の文化振興に貢献しました。彼の活動は、多岐にわたり、その功績は今日においても高く評価されています。

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