川崎市バス塩浜営業所

概要

川崎市バス塩浜営業所は、神奈川県川崎市川崎区塩浜2丁目2-1に所在する川崎市交通局のバス営業所です。正式名称は「川崎市交通局自動車部塩浜営業所」といい、営業所を示す略号は「S」が使用されています。最寄りのバス停留所は「塩浜営業所前」となります。当営業所は、川崎駅東口を発着する路線のうち、主に川崎区東部の臨海部方面を担当しており、京浜工業地帯で働く人々などの通勤・通学・物流輸送において重要な役割を担っています。なお、同じ川崎区塩浜には川崎鶴見臨港バス塩浜営業所も存在しますが、こちらは全く別の事業者の営業所であり、所在地も異なります。

沿革

塩浜営業所は、1962年（昭和37年）に開設されました。

現行路線

当営業所が所管する主な路線は以下の通りです。

埠頭線（川04）

川崎駅東口から川崎港の市営埠頭がある千鳥町方面を結ぶ、当営業所の主要路線の一つです。塩浜付近までは住宅地が広がるため、近距離利用も多く見られます。朝夕の通勤時間帯に加え、日中や休日も運行頻度が高く、他の路線と合わせて利用者は待つことなく乗車できる環境が整備されています。経路は川崎駅を出てから国道132号線を千鳥町内まで直進しますが、千鳥町内では時間帯によって経由するバス停が異なります。日中は市営埠頭を通り過ぎて京セラ前で折り返す便が中心です。朝夕には、JERA川崎火力発電所前を経由する「遠回り」系統が運行されます。出入庫のため、川崎駅から塩浜営業所へ直接向かう便も設定されており、これが川崎駅～塩浜営業所間では最短経路となります。2023年3月のダイヤ改正で、急行便が四谷上町にも停車するようになりました。なお、新型コロナウイルス感染症の影響による需要減退を受け、川崎駅行きの急行便（復路）は2022年以降運行を休止しています。

東扇島循環線（川05・川07）

川崎駅東口からJERA川崎火力発電所前を経由し、京浜運河の下を川崎港海底トンネルでくぐって東扇島へ向かう路線群です。経路の大部分は埠頭線と重複しており、特に混雑の激しい朝には、混雑緩和と速達性向上のため急行・区間急行便が運行されます。東扇島地区では日中や休日は利用者が減少する傾向がありますが、川崎区市街地を走行する区間が長いため、川崎駅側での利用は終日多く見られます。高速バスを除くと、東扇島地区への主要な公共交通機関であるため、運行本数は終日にわたり多く設定されています。川07系統は、東扇島地区の西端にあるかわさきファズ物流センターを経て東扇島西公園まで運行します。これは2010年の延伸によるものです。近年、東扇島地区への企業進出が増え、朝夕の混雑が顕著となったため、大型長尺ノンステップバスの導入や増便といった対策が講じられています。2023年3月のダイヤ改正では、川05特急が廃止され、川07は区間急行に名称変更されるとともに停車駅が見直されました。区間急行は川崎駅を出て塩浜まで各停留所に停車し、その先は主要停留所のみ停車となります。こちらも川崎駅行きの急行便（復路）は2024年現在運行休止中です。

水江町線（川10）

川崎駅東口とJFEスチールの工場がある水江町を結ぶ路線の一つで、かつての川崎市営トロリーバスの経路を概ね引き継いでいます。労働会館前までは国道132号線を進みますが、その先で右折・左折し、藤崎地区を経由して水江町へ向かいます。池上町手前で分岐し、入江崎水処理センターを経由して塩浜へ至る系統も存在し、こちらは終点から塩浜営業所へ回送されます。かつては平日・土曜の朝夕のみの運行でしたが、かわさき南部斎苑の開設に伴い、現在は休日を含めた終日運行となっています。

扇町線（川13）

川崎駅と扇町を結ぶ路線です。労働会館前、大島四丁目、大島四ツ角などを経由します。この系統は過去に塩浜営業所と上平間営業所の間で所管が変更された経緯があります。2023年3月の南部路線再編で再び塩浜営業所の担当となりました。現在、日中時間帯は川17系統に移行しており、川13系統は朝夕のみの運行です。

渡田線（川15・川17・川40）

川崎駅東口から、かつての川崎市電の廃線跡を利用した「市電通り」を経由する路線群です。主に中央口に近いバスロータリーの6番乗り場から発車します。多様な行先を持つ川40系統が中心的な役割を担っています。川15系統は、小田栄方面を循環する系統です。川40系統はJFEまでの区間は運行本数が多く、沿線には大型商業施設もあるため利用客が多く見られます。川40は市電通りを南下し、渡田小学校で一部系統が分かれるほか、JFEを経由した後は産業道路を北上し、臨港警察署で塩浜営業所方面や水江町方面へと分かれます。川17系統は2023年3月に新設された渡田浜町循環線で、川崎駅と田島地区を結び、地域住民の市役所方面への利便性向上を目指しています。

川崎病院線

川崎駅東口と川崎市立川崎病院を直行で結ぶ系統です。「ワンコインバス」として、大人・小人ともに運賃100円均一で運行されています。川崎鶴見臨港バスとの共同運行です。定期券や回数券は利用できませんが、現金および交通系ICカードでの乗車が可能です。平日の日中のみ運行されており、臨港バスと合わせて約12分間隔で運行されます。土曜・休日は運休です。病院への通院・通勤客のほか、近隣住民にも利用されています。主に中型ノンステップバスが使用されますが、車両都合により大型短尺車が代走することもあります。

川崎競輪場線

川崎駅前と川崎競輪場を直行で結ぶ、競輪開催日のみ運行される系統です。競輪場への来場者輸送を目的としており、IBS COACHと共同運行しています。

廃止・移管された路線

水江町線関連

かつて運行されていた川崎駅とコストコ川崎倉庫店を結ぶ川21系統の直行便は、2012年7月のダイヤ改正で廃止となりました。また、水江町より先のゼロ・エミ工業団地へ向かう便の一部や、新川通りを経由する川21急行便も、2023年3月の路線再編に伴い廃止されています。

アクアライン高速線

1997年12月の東京湾アクアライン開通に合わせて、川崎駅と木更津駅を結ぶ高速バス路線に参入し、他社との共同運行を行っていました。しかし、採算性の悪化を理由に、川崎市交通局は2004年3月をもってこの路線から撤退しました。また、同時期に開業した川崎駅と袖ケ浦駅を結ぶ路線も運行されていましたが、利用低迷のため2002年10月限りで廃止されています。

県営埋立線（川03）

川崎駅と臨海部北部の浮島町を結ぶ路線で、長らく川崎鶴見臨港バスと共同運行を行っていました。共通定期券も設定されていました。経路は四谷下町まで国道132号を進み、その後産業道路を北上して浮島バスターミナルへ向かうものでした。1997年の東京湾アクアライン開通までは浮島町カーフェリー発着でした。共同運行体制でしたが、輸送力増強の観点から臨港バスによる単独運行化が決定し、川崎市バスの運行は2013年 4月30日をもって終了し、全便が臨港バスへ移譲されました。これに伴い、市バス塩浜営業所発着便なども廃止されました。

車両

川崎市交通局ではかつて、地域経済振興のため市内に工場があったいすゞ自動車と三菱ふそうの車両を中心に導入していました。その後、国産4メーカー全ての車両を導入するようになります。当営業所は京浜工業地帯や産業道路を抱える地域特性から、大気汚染対策として早くから低公害車の導入が進められました。1991年には日野・ブルーリボンHIMRの試験運行に参加し、これを機に日野車の導入が再開されます。1994年にはCNG車の先行導入が行われ、日産ディーゼル車の導入が始まる契機となりました。1999年には川崎市バスで唯一のCNGスタンドが営業所内に完成し、いすゞ車や日産ディーゼル車のCNG車が集中配置されました。ハイブリッド車も、川崎市バスでは初めて当営業所に配置されて以来、導入が継続されており、日野・ブルーリボンシティハイブリッドやいすゞ・エルガハイブリッドなどが運行されています。京浜工業地帯への輸送に対応するため、日産ディーゼル、いすゞ、三菱ふそう製の大型長尺車が多く配置され、主に埠頭線や東扇島循環線で活躍しています。かつてはノンステップバスのみの導入時期もありましたが、現在は収容力確保のためワンステップバスも導入されています。2021年度末にはCNG車が全て置き換えられ、営業所併設のCNGスタンドも撤去されました。中型車はいすゞ・エルガミオが配置されており、川崎病院線などで使用されています。

川崎市バス塩浜営業所