川村真樹 (女優)

女優、そして歌手として多岐にわたる活動を展開してきた川村真樹は、1948年1月1日に福島県で生まれた人物です。宝塚歌劇団の舞台を踏み、その後は映画の世界へと転身。特に日活ロマンポルノでその名を馳せ、異色のキャリアを歩んだ人物として知られています。公称身長は157センチ。かつては芸映プロやグループ71に所属していました。

彼女の芸能活動の第一歩は、1965年の宝塚歌劇団への入団でした。九段女子高等学校を経て、宝塚音楽学校の51期生として門を叩いた川村は、入団時の成績は54人中48番目でした。娘役として活動し、初舞台は花組公演『われら花を愛す』と『エスカイヤ・ガールス』。同期には、後にトップスターとなる安奈淳をはじめ、高宮沙千や華かおりといった面々が名を連ねていました。宝塚での愛称はサトコ。しかし、入団からわずか2年後の1967年8月には宝塚を退団し、活動の場を求めて上京しました。

上京後、川村は映画女優としての道を歩み始めます。コメディ映画『ドリフターズですよ! 特訓特訓また特訓』（東宝）で役者としてデビューを飾ります。その後も東宝映画のいくつかの作品に端役として出演し、銀幕でのキャリアを積み重ねていきました。

順調に見えたキャリアに一時的な中断が訪れます。1970年11月、コメディアンの佐十郎と共に睡眠薬を過剰に服用し、一時は心中未遂とも見誤られる事故を起こしてしまうのです。この出来事により、彼女は一時的に芸能活動から遠ざかることを余儀なくされました。しかし、翌年にはテイチクレコードから歌手としてレコードをリリースし、見事に芸能界への復帰を果たしました。

復帰後、川村は新たな活躍の場を見つけます。日活が成人映画製作に乗り出し、「日活ロマンポルノ」路線を開始すると、彼女はこの分野で重要な存在となります。特に1972年に公開された初主演映画『八月はエロスの匂い』では、体当たりともいえる演技を披露し大きな話題を呼びました。これを機に、彼女は日活ロマンポルノを代表する常連女優の一人として数多くの作品に出演することとなります。その一方で、日活作品だけでなく、東映製作の映画にも出演。内藤誠監督の『ネオンくらげ』や、五社英雄監督の『暴力街』といった話題作にも顔を見せ、ジャンルを超えた活躍を見せました。

映画界の第一線から退いた後、川村真樹は新たな人生のステージへと進みます。1990年には東京都中央区銀座8丁目に自身の名を冠したクラブ「マダム真樹」を開店しました。（現在は銀座7丁目の金田中ビルに移転して営業を続けています。）経営者として多忙な日々を送る中で、乳癌といった健康上の試練にも見舞われましたが、これを乗り越え、力強く立ち向かっていきました。

近年、川村真樹は再び表舞台にも姿を見せています。2005年2月には、円広志が作詞作曲を手がけたシングル「うかれ銀座の一人言」をリリースし、歌手としての活動を再開しました。同年7月には東京・博品館劇場でコンサートを開催。多くの観客を前に、その変わらぬ健在ぶりを示しました。また、TBS系列のテレビ番組『爆報! THE フライデー』にも出演し、自身が経営するクラブ「マダム真樹」が「元宝塚女優と一緒にお酒が飲める店」として紹介されました。宝塚出身の女優たちがキャストとして在籍していることもあり、彼女の店は人気を集めているといいます。

宝塚の清らかな世界から、成人映画のヒロイン、そして銀座の社交界へと、川村真樹が歩んできた道のりは極めてユニークであり、その波乱に満ちたキャリアは多くの人々を惹きつけます。女優、歌手、経営者という多様な顔を持つ彼女は、今なお精力的に活動を続けています。

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