工藤重典

工藤 重典

工藤重典氏は、1954年9月26日生まれの日本のフルート奏者です。東京音楽大学の教授を務める傍ら、世界各地でソロ活動を展開し、日本を代表するフルート界の第一人者として広く知られています。

経歴

北海道札幌市で生まれた彼は、10歳の時に札幌交響楽団の首席フルート奏者、佐々木伸浩氏との出会いを機にフルートの道を志しました。地元の高校を卒業後、桐朋学園大学のディプロマコースで峰岸壮一氏に師事しましたが、より深い学びを求めて卒業を待たずに渡仏を決意。1975年、パリ音楽院に入学し、フルート界の偉大な先達であるジャン＝ピエール・ランパル氏のもとで研鑽を積みました。

1979年1月、彼はフランスのリール国立管弦楽団に首席フルート奏者として入団。同年にはパリ音楽院を修了しています。1987年には同楽団を退団し、活動の主軸をソロ演奏へと移しました。この頃から、パリのエコール・ノルマル音楽院で教授として後進の指導にもあたっています。

国際的な活躍

ソロ活動に注力して以降、工藤氏は世界中を駆け巡り、2004年までに約40カ国180以上の都市でリサイタルを開催しました。オーケストラとの共演も精力的に行い、NHK交響楽団をはじめとする日本の主要オーケストラはもとより、海外の30を超える著名な団体とも共演しています。録音活動も活発で、ソニー・クラシカルやビクターエンタテインメントなどから60種類以上のCDをリリース。中でも、師であるランパル氏との共演盤「ランパル&工藤重典/夢の共演」は、1988年度の文化庁芸術作品賞に輝いています。また、1997年にはNHK教育テレビのフルート講座「趣味悠々」で講師を務め、広く一般にフルートの魅力を伝えました。

彼は主要なオーケストラの首席フルート奏者としても重要な役割を果たしてきました。1987年から2009年までサイトウ・キネン・オーケストラ、1990年からは水戸室内管弦楽団の首席奏者を務めています。さらに、2013年3月からはオーケストラ・アンサンブル金沢の特任首席奏者に就任し、その活動の場を広げています。

審査員・受賞歴

1983年からは、フルート界で最も権威あるコンクールの一つ、ジャン＝ピエール・ランパル国際フルートコンクールの審査員を長年務めています。彼の才能は国際的なコンクールでも高く評価されており、以下のような輝かしい受賞歴を誇ります。

第2回パリ国際フルートコンクール第1位、フランス独奏家協議会賞（1978年）
ラロッシェル国際現代音楽コンクール第3位（1978年）
ミュンヘン国際音楽コンクール、フルート部門第3位（1979年）
第1回ジャン＝ピエール・ランパル国際フルートコンクール第1位、フランス共和国大統領賞（1980年）
* 村松賞（1988年度）

その他

音楽活動以外では、アルペンスキーに造詣が深く、SAJ1級の腕前を持ち、かつてはオリンピック強化選手に選ばれた経験もあるという一面を持っています。

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