市村吉五郎 (2代目)

二代目市村吉五郎は、1918年1月18日に十二代目片岡仁左衛門の次男として誕生しました。幼名は片岡義直。1922年12月に天満八千代座で初舞台を踏み、歌舞伎役者としての道を歩み始めます。

1940年には、十五代目市村羽左衛門の養子となり、翌1941年1月には歌舞伎座で二代目市村又三郎を襲名し、名題へと昇進しました。しかし、1946年3月には父である十二代目片岡仁左衛門が下男に殺害されるという悲劇に見舞われます。

1947年2月、東京劇場にて十六代目市村家橘を襲名。1965年4月には、伝統歌舞伎保存会の会員として第一次認定を受け、その実力が認められました。1967年10月には、歌舞伎座で二代目市村吉五郎を襲名。この名跡は、初代から約150年ぶりの復活となり、大きな話題を呼びました。

二代目吉五郎は、養父の十五代目市村羽左衛門、実父の十二代目片岡仁左衛門、そして義兄の十六代目市村羽左衛門と、相次いで近親者を亡くし、若くして橘屋の重責を背負うことになります。また自身も病気がちであったため、舞台から遠ざかる時期もありました。

しかし、二代目吉五郎の演技は多くの人々を魅了しました。特に、二代目吉五郎襲名狂言である『業平吾妻鑑』での在原業平役は、劇作家の北条秀司に絶賛され、北条作品の公家役として頻繁に起用されるきっかけとなりました。1969年には、六代目中村歌右衛門主演の新作歌舞伎『建礼門院』の平有盛役を演じ、1985年には若尾文子主演版の同作で新大納言成親と大納言左局を演じています。

1998年4月の大阪松竹座『寺子屋』の涎くり親父吾作役を最後に病気療養のため舞台から遠ざかっていましたが、2010年2月17日に就下性肺炎のため、92歳で生涯を閉じました。

二代目吉五郎は、舞台での活躍だけでなく、趣味人としても知られていました。自動車やバイク、機械いじりを好み、盟友である中村勘九郎を会長に、日産車好きの芸能人を集めたカークラブ『NDC』を設立しています。

テレビドラマにも出演し、NHK大河ドラマ『赤穂浪士』では伊達左京亮役、『太閤記』では足利義昭役を演じました。

二代目市村吉五郎は、その卓越した演技力と、幅広い趣味を持つ人物として、多くの人々に記憶される歌舞伎役者です。

受賞歴として村上元三賞、北条秀司賞を受賞しています。

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