市村瓚次郎

市村 瓚次郎の生涯と業績

市村瓚次郎（1864年9月9日 - 1947年）は、日本における東洋史学の先駆者であり、著名な歴史学者として知られています。彼は東京帝国大学の名誉教授であり、國學院大學の学長を務めるなど、学問の発展に寄与しました。学問に対する深い情熱を持ち、その人生を通じて教育や研究に尽力しました。

経歴

市村は常陸国筑波郡北条町（現在の茨城県つくば市北条）で生まれました。1878年に上京し、明治法律学校を経て1887年に帝国大学の古典漢書科を卒業しました。彼は1888年に学習院の傭教師として教壇に立ち、その後、1890年に助教授、1892年に教授に昇格しました。この時期、森鷗外とともに新声社を結成し、共訳詩集『於母影』を刊行しました。

1898年には東京帝国大学文科大学助教授に転任し、1905年には教授に昇格。白鳥庫吉と共に東洋史学の基礎を築きました。1907年には文学博士の学位を得て、1924年に東京帝国大学を定年退職すると、名誉教授の称号を受けました。退職後は國學院大學でも教鞭を取る一方、他の大学でも東洋史を講じ、1935年には國學院大學の学長に就任しました。

しかし、彼の学長職はわずか1年余りであり、その辞任は研究への深い愛着から旧道に帰りたかったためだと言われています。最終的には1944年に國學院大學の教授職を退任しました。

研究内容と業績

市村の研究は、主に東洋史と中国史に関するものでした。彼は漢学の復興にも力を入れ、明治天皇の皇女である允子内親王や聡子内親王に漢学を教えるなど、後進の育成に尽力しました。また、国文や西洋文学をもとに漢詩を創作したり、翻訳を行うことで、洋学が普及していた当時の漢学の重要性を再評価しました。彼の活動は、多くの学生や研究者に影響を与え、東洋史学の基盤を固めることに寄与したのです。

蔵書と家族

市村の蔵書には、中国で収集した哲学関係資料が26,000点あり、東京大学附属図書館に収蔵されています。彼の学問や研究に対する姿勢は、家族にも引き継がれており、次男の市村毅は地質学者として活躍し、台北帝国大学の教授に就任しています。長女の市村貞子は、元三菱銀行頭取の小笠原光雄に嫁いでいます。

著作

市村は多くの著作を残しており、その中には東洋史に関する重要な思想や研究が反映されています。彼の学問は、今なお多くの研究者に受け継がれており、東洋史学の発展に寄与し続けています。関連資料として、朱琳による「近代日本の「東洋学／中国学」の人々」などもチェックされており、彼の業績を知る手助けとなっています。市村瓚次郎の人生と業績は、日本の学問において記憶に残るべき重要なものであると言えるでしょう。

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