布波能母遅久奴須奴神

布波能母遅久奴須奴神について

布波能母遅久奴須奴神（フハノモヂクヌスヌ）、現代仮名遣いではフワノモジクヌスヌとは、日本の神話に登場する神の一つです。この神は『古事記』に記される十七世神の一柱であり、国津神とされています。また、粟鹿神社に伝わる『粟鹿大明神元記』では、布波能母知汙那須奴（フハノモチウナスヌ）という別の表記も存在します。

名の意味と考察

神の名称には多くの解釈が存在し、特に「母遅」や「久奴」といった部分に注目が集まります。「母遅」は、大穴牟遅神の「牟遅」、また大日孁貴神の「貴」と同じ語源のもので、「尊貴」を意味するともされています。「久奴」は「国主」と解釈されることが多く、これらの意味から、この神は須佐之男命の第一世の子である八島士奴美神が大国主神の誕生を予想しているのと同様に、大穴牟遅神の誕生を予知する存在と考えられています。

また、「布波」の部分は「含（ふふ）む」という語幹と同根で、「まだ開いていない状態」を示し、「蕾」を象徴しています。この解釈に基づくと「母遅」は同じく「牟遅」とされ、「布波能母遅」が「久奴須奴」にリンクした美称となり、「久奴須」は「国巣」と解釈されることもあります。この場合、「巣」は人間の住居を意味し「奴」は主を示すことから、神は父八島士奴美神の領有者としての性質と、母神である木花知流比売の桜の花が散る性質を受け継いでいるとされています。従って、この神の名は「将来有望な蕾の貴人で、国の住居地の主」を示すとする説があります。

別の見解では「久奴須」を「国洲」や「国砂」と解釈し、国土の中洲や土砂を構成する意義を持つともされています。この解釈を受け、「布波」を軽くて柔らかいものとし、「母遅」を支える役割を持つと考えると、母神である木花知流比売と結びつけられ、原初の国土を支える神という理解にもつながります。

系譜

布波能母遅久奴須奴神は、八島士奴美神と木花知流比売の子として位置づけられています。神話によると、彼は淤迦美神の娘である日河比売を妻に迎え、深淵之水夜礼花神をもうけました。さらに、粟鹿大明神元記では阿麻乃都刀閇乃知尼を娶り、意弥都奴を生んだとの記録もあります。

参考文献と関連項目

この神についての詳細な研究は、十七世神や出雲族に関連する文献に見られます。また、國學院大學の古典文化学事業においても、布波能母遅久奴須奴神についての情報が提供されています。

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