常盤平団地

常盤平団地



常盤平団地は、千葉県松戸市常盤平に位置する、大規模なUR賃貸住宅です。新京成線の常盤平駅と五香駅が最寄り駅となっており、1950年代後半から1960年代にかけて、東京近郊の住宅不足を解消するために建設されました。この団地は、松戸市金ヶ作地区宅地開発事業の一環として、当時の日本住宅公団によって建設が進められました。

建設の背景と経緯



1955年に設立された日本住宅公団は、東京近郊における住宅不足の緩和を急務としていました。その中で、新京成線の開通など条件が整った松戸市金ヶ作・五香地区が、大規模な宅地開発事業の対象として選ばれました。この開発は、川崎市生田地区、日野市日野地区、八千代市八千代台地区などと並行して進められ、常盤平団地は、約169ヘクタールの土地に、4839戸の4階建て中層公団住宅170棟を中心に、ショッピングセンター、集会所、病院、小学校などの施設を備えた、一つの街として建設されました。

団地名は公募によって「常盤平」と命名されました。これは、松戸市の「松」から連想される「常盤の松」にちなんだものです。

しかし、この開発には、地権者との対立という困難も伴いました。土地区画整理事業によって、地権者は道路や公園用地として土地の一部を無償提供する必要がありました。これに対し、地権者たちは反対同盟を結成し、社会党の支援を受けながら、激しい反対運動を展開しました。公団による強制測量に対しては、人糞を撒いて妨害するなどの抵抗が行われ、警察が出動する事態にまで発展しました。その後、建設省などによる調停案も提示されましたが、反対同盟はこれを拒否し、反対運動は沈静化していきました。

1959年から入居が開始され、1962年に入居が完了しました。団地の建設により、松戸市の人口は大幅に増加し、その後の周辺地域の開発にも影響を与えました。当時のパンフレットでは、ガス、電気、下水道などのインフラや、都心へのアクセス（約50分）といった利便性がアピールされていました。建設の様子は記録映画にも収められ、その注目度の高さが伺えます。

環境と特徴



常盤平団地は、首都圏整備計画のグリーンベルト構想に基づいて建設されたため、団地内には緑が多く残されました。団地を南北に貫く常盤平けやき通りは「新・日本街路樹100景」に、東西に貫く常盤平さくら通りは「日本の道100選」に選ばれています。これらの通りは、団地の美しい景観を形成しています。

高齢化と現状



しかし、1990年代ごろから団地内では高齢化が顕著になり、2011年には団地地区の高齢化率が38.4%に達しました。2000年代前半には、団地住民の孤独死が相次いだことから、団地自治会などは「孤独死ゼロ作戦」と称した対策に取り組んでいます。この問題はNHKスペシャルでも取り上げられました。

建物の老朽化が進んでいるため、建て替えの提案もされていましたが、高齢化が進んでいる状況から、建て替え反対運動が起こり、ストック活用（現状の維持）の方針が採用されました。現在も、1962年までに建設された約180棟の中層住戸が使用されており、初期の公団住宅の姿をそのまま残しています。

松戸市立博物館には、1962年当時の団地2DKを原寸大で再現したモデルルームが展示されており、当時の生活様式を知ることができます。

交通アクセス




周辺施設



団地の周辺には、生活に必要な様々な施設が充実しています。


関連項目




外部リンク




北緯35度48分3秒 東経139度57分14秒

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