常盤町 (名古屋市)

常盤町の歴史と変遷

常盤町（ときわちょう）は、かつて愛知県名古屋市中区に存在した町です。この町は、明治時代から大正時代にかけて、旭廓（あさひかく）という遊郭の一部として知られていました。しかし、その歴史はさらに古く、江戸時代には御先手（おさきて）の小吏（こり）が住む場所であり、下園町（しもそのちょう）の一部でした。

旭廓の開設と常盤町の誕生

1876年（明治9年）に旭廓が開設され、その2年後の1878年（明治11年）には、下園町の一部が常盤町と富岡町（とみおかちょう）として分離されました。これにより、常盤町は新たな歴史を歩み始めることとなります。しかし、遊郭が市街地にあることは風紀上の問題と見なされ、1923年（大正12年）4月に旭廓は西区（現在の名古屋市中村区）へ移転し、中村遊廓（なかむらゆうかく）とも呼ばれるようになりました。この移転は、常盤町の性格を大きく変える出来事でした。

町名・町界の変遷

常盤町の町名と町界は、時代の変化とともに何度か変遷を経験しています。

1878年（明治11年）：下園町の一部が分離し、常盤町が成立しました。
1889年（明治22年）10月1日：市制施行により名古屋市が成立し、同市常盤町となりました。
1908年（明治41年）4月1日：名古屋市が区制を施行し、中区常盤町となりました。
1936年（昭和11年）1月1日：一部が中区岩井通（いわいとおり）の一部となりました。
1966年（昭和41年）3月30日：住居表示の実施に伴い、一部が中区栄一丁目（さかえいっちょうめ）の一部となりました。
1969年（昭和44年）10月21日：住居表示の実施に伴い、中区大須一丁目（おおすいっちょうめ）の一部となり、常盤町としての歴史に幕を閉じました。

常盤町の終焉

常盤町は、その成立から約90年という比較的短い歴史の中で、遊郭の一部から名古屋市の一地区へと変遷し、最終的には住居表示の変更により、その名を消しました。この町は、名古屋の歴史の中で、遊郭と都市化という二つの側面を象徴する場所として、その名を歴史に刻んでいます。

参考文献

名古屋市役所『名古屋市史』 風俗編、名古屋市役所、1915年8月20日。
名古屋市役所『名古屋市史』 地理編、名古屋市役所、1916年3月30日。
中村区制十五周年記念協賛会 編『中村区史』中村区制十五周年記念協賛会、1953年5月20日。
福岡清彦 編『中区の町名』名古屋市中区役所、1976年2月1日。
角川書店 編『なごやの町名』名古屋市計画局、1992年3月31日。
新修名古屋市史編集委員会 編『新修名古屋市史』 第五巻、名古屋市、2000年3月31日。
新修名古屋市史編集委員会 編『新修名古屋市史』 第六巻、名古屋市、2000年3月31日。

関連項目

名古屋市の地名

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