幌延深地層研究センターについて
幌延深
地層研究センターは、
北海道天塩郡幌延町に位置する、
日本原子力研究開発機構(JAEA)が運営する研究施設です。この施設は、地下350m以深の深
地層における
放射性廃棄物地層処分に関する研究を目的としています。
施設の特徴
立地: 日本海から約14km内陸に位置し、宗谷本線幌延駅から3kmほどの場所にあります。
構成: 地上施設(研究管理棟、試験棟、PR施設「ゆめ地創館」)、地下施設(立坑、坑道、排水処理設備)、掘削土置場で構成されています。
協定: 北海道及び幌延町との間で、放射性廃棄物の持ち込みや処分場としての利用は行わない協定が締結されています。
地上施設
研究管理棟: 従業員の居室、会議室、緊急対策室などが設けられています。
試験棟: ボーリングコアの分析など、地質調査に関する様々な試験が行われます。
ゆめ知創館: センターの広報施設で、研究内容の紹介や地下施設の様子を映像で見ることができます。展望台からは施設の全景が見渡せます。地下には
地層処分実規模試験施設への連絡通路があります。開館時間は午前9時から午後4時までで、毎週月曜日と年末年始が休館日です。入館は無料です。
地下施設
地下施設は、主に以下の要素で構成されます。
立坑: 東立坑、西立坑、換気立坑の3本の立坑があります。
調査坑道: 深度140m、250m、350mの3つのレベルに水平坑道が掘削されています。
深度350m調査坑道: 西周回坑道、東周回坑道、東連絡坑道、西連絡坑道に分かれており、試験坑道や一時避難所が設けられています。
地下施設は事前予約で見学が可能です。見学コースでは、ゆめ知創館からバスで西立坑入口へ移動し、工事用エレベーターで地下350mの調査坑道へ降下し、坑道内を見学します。見学可能日は時期によって異なり、5月から10月は火曜日と木曜日、11月から3月は木曜日、さらに5月から10月は毎月第4日曜日にも実施されます。
掘削土置場
坑道掘削で発生した土砂を保管する場所で、土壌汚染対策法に準拠した施設です。
地層処分実規模試験施設
原子力環境整備促進・資金管理センターが運営する研究・広報施設です。ゆめ知創館の地下から連絡通路でつながっています。ここでは、人工バリアと呼ばれる放射性物質の漏出防止設備の実物大モデルを展示し、地層処分に関する理解を深めることができます。
国際交流施設
幌延町役場近くにある多目的ホールと会議室を備えた施設です。研究者間の交流や地域住民との交流を目的に設置され、センターの研究説明会や報告会などに利用されています。
研究内容
センターでは、堆積岩を対象に、主に以下の2つの分野の研究が行われています。
1. 地層科学研究
地下深部の
地層や地下水の状況を把握する。
地層・地下水の調査技術を開発する。
地質環境の長期安定性に関する研究を行う。
2.
地層処分研究開発
地層処分場の建設技術を開発する。
放射性廃棄物の定置技術を開発する。
地層処分の安全性評価手法を開発する。
過去の
地層の変化を調査し、
未来を予測するナチュラルアナログ研究を行う。
研究は、地上からの調査研究、坑道掘削時の調査研究、地下施設での調査研究の3段階に分けて実施されています。当初は20年程度の研究期間が設定されていましたが、2028年度までの継続が決定しています。
他機関との関係
JAEAの
地層処分技術関連施設として、他に
茨城県東海村の核燃料サイクル工学
研究所や、
岐阜県瑞浪市の東濃地科学センター(現在は閉鎖)があります。
幌延は
堆積岩、瑞浪は花崗岩と地質が異なり、地下水系も異なります。放射性物質を使わない研究が行われており、熱源を埋没させて容器の腐食を調べる研究なども行われています。また、
埼玉大学、
静岡大学、
山口大学、
京都大学、
北海道大学、サンディア国立
研究所など、多くの大学・研究機関と連携して研究が進められています。
歴史
1980年代初頭、
幌延町は
原子力発電所や
放射性廃棄物施設の誘致を検討していました。しかし、住民の反対や地盤の脆弱性により計画は頓挫しました。
1998年、政府は貯蔵工学センター計画を白紙化し、深
地層研究に特化した施設を新たに提案しました。その後、
北海道や
幌延町との間で協定が締結され、
2001年に幌延深
地層研究センターが開所しました。
最近の研究計画について
当初の研究計画は20年程度でしたが、
2019年、原子力機構は研究期間の延長を提案し、2028年度まで研究を継続することが決定しました。この延長案については、地元との間で協議が行われ、3者協定を遵守することを前提に合意されました。
参考資料
滝川康治『核に揺れる北の大地』七つ森書館、2001年。
幌延深
地層研究センター公式サイト
ゆめ地創館公式サイト
北海道庁による
幌延町における深
地層研究計画に関する情報
関連施設
幌延地圏環境研究所
地層
この施設は、
地層処分技術の確立と国民の理解促進を目指し、日々研究に取り組んでいます。