干潟駅
千葉県旭市の中心部に位置するJR東日本
総武本線の駅、それが干潟駅(ひがたえき)です。
旭市ニに所在し、太平洋に比較的近いこのエリアの交通拠点の一つとなっています。相対式ホーム2面2線を有する
地上駅で、趣のある木造駅舎が利用客を迎えます。
駅名の由来
駅名の「干潟」は、駅が所在する現在の地名に直接由来するものではありません。
江戸時代初期の
寛文年間、この地域に広大な内海であった「
椿海(つばきうみ)」の干拓が行われました。これにより誕生した肥沃な穀倉地帯は「干潟八万石(ひがたはちまんごく)」と呼ばれ、豊かな実りをもたらしました。干潟駅という名称は、この歴史的な干拓事業によって生まれた広大な新田にちなんで名付けられたものです。当駅の所在地は、かつての
椿海の南岸にあたります。
興味深いことに、かつて付近に存在した
香取郡干潟町(ひかたまち)は、当駅からは北に数キロ離れた場所にありました。この旧干潟町は、駅開設よりも後の
1955年に、やはり「干潟八万石」に由来して命名された比較的新しい地名であり、干潟駅とは直接的な関連性はありません。駅自体は、合併前の旧
旭市(駅開業時は
海上郡旭町)に開設されています。
歴史
干潟駅の歴史は
明治時代に遡ります。
1898年(
明治31年)2月25日、私鉄である総武鉄道の駅として開業しました。その後、鉄道国有化の波を受け、
1907年(
明治40年)
9月1日には帝国鉄道庁(後の
日本国有鉄道、国鉄)の駅となります。
昭和に入ると、
1971年(
昭和46年)
10月1日に貨物取扱が廃止され、旅客専用駅となりました。国鉄の分割民営化に伴い、
1987年(
昭和62年)
4月1日からは
東日本旅客鉄道(JR東日本)の駅として運営されています。時期は定かではありませんが、合理化により業務委託駅へと移行しました。近年では、
2009年(平成21年)
3月14日に首都圏の交通系
ICカード「
Suica」が利用可能となり、同時に東京近郊区間にも組み込まれ、利便性が向上しました。
駅構造
干潟駅は、線路を挟んで相対する形でホームが配置された2面2線の
地上駅です。駅舎側のホームが上り本線(2番線)、その向かいのホームが下り本線(1番線)として使用されています。過去には1番線のさらに外側に0番線と呼ばれる副本線も存在しましたが、遅くとも1993年までにはその役割を終えています。ホーム間は
跨線橋で結ばれており、安全に移動できるようになっています。ホームの高さは現代の標準よりやや低い嵩上げされていない構造です。現在のホームは、8両編成の列車まで対応可能です。
駅業務は、
JR東日本ステーションサービスの係員が担当する業務委託駅ですが、利用者の少ない早朝や夜間帯は駅員が不在となる時間帯があります。管理業務は成田統括センターが行い、
銚子駅が担当しています。
利用状況
近年における干潟駅の利用状況は安定しています。2023年度の統計によれば、1日平均の乗車人員は865人でした。これはJR東日本が公表しているデータに基づいています。
駅周辺
干潟駅前は、地域の大動脈である
国道126号に面しており、活気のある商業エリアが形成されています。国道沿いには、様々な業種の商業施設や
飲食店(
チェーンストアを含む)が立ち並び、日常の買い物や飲食に便利です。また、駅から徒歩約10分ほどの距離には、「あさひ新産業パーク」および「あさひ鎌数工業団地」が整備されています。この工業団地は、かつて
大日本帝国海軍香取航空基地があった広大な跡地を活用して造成されたもので、
ゼンショーやユアサ・フナショク、
佐川急便といった大手企業の
工場や物流倉庫が集積し、多くの雇用を生み出しています。
その他、周辺には
千葉県道56号佐原
椿海線が通り、教育機関として
千葉県立旭テクノスクールや
千葉県立東総工業高等学校、
旭市立干潟小学校、
認定こども園のあさひこひつじ幼稚園があります。生活関連施設では干潟駅前通郵便局、東洋自動車教習所、銚子商工信用組合や銚子信用金庫の支店、さらに鎌数伊勢大神宮や干潟公園といった名所旧跡・憩いの場も点在しています。商業施設としては、ドン・キホーテ、タイヨービッグハウス、スーパーセンタートライアル、コメリパワーといった大型店舗も進出しており、周辺住民や駅利用者のニーズに応えています。
バス路線
駅前の「干潟駅」停留所からは、複数のバス路線が運行されており、駅を起点とした地域のアクセスを補完しています。
旭市コミュニティバスの東西線、旭南ルート、干潟ルートが市内の各方面を結んでいます。また、隣接する匝瑳市の市内循環バスも利用可能です。遠距離アクセスとしては、
バスターミナル東京八重洲や旭中央病院東、
銚子駅方面を結ぶ
高速バス(東京銚子線「横芝光・旭ルート」)も発着しており、首都圏への移動手段として利用されています。
JR
総武本線においては、
八日市場駅と旭駅の間に位置しています。