平定家

平定家（たいら の さだいえ）

平定家は、平安時代中期に活躍した貴族です。生没年は不詳ですが、右衛門権佐・平行親の子として生まれました。後朱雀朝から後冷泉朝にかけて朝廷に仕え、様々な役職を歴任しました。

経歴

長久2年（1041年）に六位蔵人に補任されたのを皮切りに、後冷泉朝では検非違使や紀伊守、尾張守などを務めました。また、摂関家の家司として藤原頼通に仕え、その側近としても活躍しました。没年は不詳ですが、永保元年（1081年）まで記録が残っており、最終的には正四位下に至っています。

『定家朝臣記』

平定家は、『定家朝臣記』（または『康平記』）と呼ばれる日記を残しています。この日記は、天喜元年（1053年）から康平5年（1062年）までの10年間分が現存しており、当時の政治情勢や貴族社会の様子を知る上で非常に貴重な史料となっています。

ただし、現存する『定家朝臣記』は、同族の平信範（叔父平範国の子孫）及び江戸時代の関白近衛家煕による写本であり、摂関家関係の記事を中心に抽出された抄本です。そのため、完全な形ではなく、一部欠落している部分もありますが、それでもなお、当時の政治を知るための重要な手がかりとなっています。

藤原師実の家司としては、道長の『御堂関白記』の古写本を書写したと考えられています。これは、平定家が単なる役人としてだけでなく、文化的な活動にも関わっていたことを示唆しています。

官歴

長久2年（1041年）正月12日：六位蔵人、大膳亮如元
時期不詳：従五位下
永承2年（1047年）12月15日：紀伊守
康平元年（1058年）8月29日：右衛門権佐
治暦元年（1065年）10月：尾張守
時期不詳：正四位下

系譜

父：平行親
母：藤原頼祐の娘
妻：藤原家任の娘
男子：平時範

参考文献

松薗斉「平定家」『平安時代史事典』角川書店、1994年 ISBN 978-4-04-031700-7 P1486.
槇野廣造 編『平安人名辞典―康平三年〈下〉』和泉書房、2007年 ISBN 978-4-7576-0445-2 P149-150.
宮崎康充 編『国司補任 第四』続群書類従完成会、1990年
市川久 編『衛門府補任』続群書類従完成会、1996年
市川久 編『蔵人補任』続群書類従完成会、1989年

外部リンク

『摂関期古記録データベース』国際日本文化研究センター（『定家朝臣記』の読み下し文を公開）

平定家は、平安時代中期の政治や文化を理解する上で欠かせない人物の一人と言えるでしょう。その日記『定家朝臣記』は、当時の貴族社会や政治情勢を生き生きと伝えてくれる貴重な史料です。

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