平成14年台風第6号

平成14年台風第6号（ツァターン）概要

平成14年台風第6号（東アジア名：ツァターン）は、2002年の6月29日にトラック島近海で発生し、日本に甚大な被害をもたらしました。この台風は、アメリカによって「ツァターン」と命名され、こちらはチャモロ語で「雨」を意味しています。その後、フィリピンの管理域に入ったことで、フィリピン名「グロリア」にも呼ばれるようになりました。

台風は徐々に勢力を強化し、7月7日には非常に強い勢力に達しました。翌9日には、南大東島の東海上で勢力を下げつつ北東に進路を変更し、11日早朝に千葉県館山市に上陸。その後は鹿島灘から三陸沖を通り、同日21時頃に北海道釧路市に再上陸しました。台風はその後オホーツク海を進み、12日0時には温帯低気圧に変わりました。

なお、この台風のアジア名「ツァターン」はこの一回限りの使用となり、次回からは「マットゥモ」という名前が採用されます。

台風の影響

台風の接近に伴い、梅雨前線が本州上に停滞し、その影響で活発な降雨が続きました。特に、中部地方から東北地方にかけては大雨が降り、岐阜県では9日から10日にかけて、1時間あたり90mm以上の猛烈な雨が降りました。この期間中の総雨量は、岐阜県根尾村樽見で510mmに達しました。関東地方の一部地域でも400mmを超える降水量を記録するなど、広範囲にわたって大雨が観測されました。

また、静岡市で318.5mmの降水量が報告され、東海・関東・東北地方の一部平野部でも200mmを超える雨が降るなど、深刻な状況が続いていました。さらに、東京の八丈島では最大風速27.3m/sを観測し、伊豆諸島および関東沿岸では20m/sを超える暴風が吹き荒れました。11日には、北海道尻羽岬で7.09メートルの有義波高が観測されるなど、厳しい気象条件が記録されました。

各地の被害状況

岐阜県の長良川では水位が増加し、警戒水位を超えたことから堤防が崩落するなどの被害が相次ぎました。群馬県では突風や竜巻のような現象が発生し、土石流も観測されました。福島県では阿武隈川が危険水位を超え、浸水被害が広がる一方、宮城県でも旧北上川や江合川の氾濫が起こりました。

特に岩手県では北上川の支流が氾濫し、45の市町村で浸水被害が発生しました。被害が深刻だった東山町では、10日から11日にかけて再度降雨が続き、住民への避難勧告が発令されました。多くの地区で災害対策本部が設置され、迅速な対応が求められました。

さらに、山岳地域では、天候の急変により登山者2名が命を落とす悲劇的な事故も発生しました。この台風の結果、人的被害は死者6人、行方不明者1人、負傷者39人、そして経済的損失は353億円に達したとされています。

結論

平成14年台風第6号は、単なる気象現象にとどまらず、多くの人々の生活に深刻な影響を与えました。また、災害への備えや対応の重要性を再認識させる出来事でもありました。これらの経験を踏まえ、より安全な社会の実現に向けて、さらなる対策が求められています。

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