平成30年の大雪

2017年冬から2018年春にかけての記録的な大雪と寒波

2017年11月から2018年3月にかけて、日本国内では度重なる大雪と厳しい寒波に見舞われました。特に2017年12月から2018年2月にかけては、冬型の気圧配置が強まることが多く、日本海側を中心に記録的な大雪となりました。

気象状況

2018年1月中旬には、北陸地方で大雪となり、新潟市では24時間降雪量80cmを記録しました。1月22日から23日には、本州南岸を通る低気圧の影響で関東甲信地方や東北地方太平洋側でも大雪となり、東京では4年ぶりに23cmの積雪を観測しました。その後、強い冬型の気圧配置により、全国的に顕著な低温となり、さいたま市では観測史上最低の-9.8℃を記録しました。

2月5日から8日には、福井県嶺北地方・石川県加賀地方を中心に記録的な大雪となり、福井市では積雪が147cmに達し、37年ぶりの記録を更新しました。また、島根県や鳥取県でも大雪となり、松江市では観測史上3位となる49cmの積雪を観測しました。2月中旬には山形県肘折温泉で積雪445cmを観測し、過去最高を更新しました。

3月には、北海道を中心に暴風雪となり、胆振地方や十勝地方では記録的な豪雪となりました。函館では、今冬の累積降雪量が過去最大となる496cmを記録しました。海外でも、ロシアや韓国で記録的な低温となり、東アジア全体が厳しい寒波に見舞われました。

異常気象の要因

この異常気象の主な要因は、偏西風の蛇行による寒気の流入とラニーニャ現象、北極の成層圏突然昇温が複合的に影響したと考えられています。

1月下旬の寒波は、ユーラシア大陸北部での偏西風の蛇行によりシベリア東部に強い寒気が蓄積し、それが日本へ流入したことが原因です。2月5日から8日の大雪は、日本海寒帯気団収束帯（JPCZ）が北陸付近に停滞したことが要因です。このJPCZの停滞は、日本海北部で発生した低気圧が北海道の西側で停滞し、気圧配置が変化しなかったことが影響しています。

被害と影響

大雪と寒波の影響により、各地で甚大な被害が発生しました。

関東地方

1月22日には、東京都区部でも大雪となり、レインボーブリッジで多数の車両が立ち往生しました。

北陸・関西地方

1月11日から12日にかけて、JR信越本線で列車が立ち往生し、乗客が長時間閉じ込められる事故が発生しました。
新潟県佐渡市では、水道管の破損により大規模な断水が発生し、自衛隊が派遣されました。
福井県では、国道8号線で大規模な車両立ち往生が発生し、自衛隊が災害派遣されました。また、一酸化炭素中毒による死亡事故や雪下ろし中の転落事故も相次ぎました。
福井県では、物流の遮断によりスーパーやコンビニで物資不足が発生しました。
JR北陸本線や北陸自動車道が通行止めとなり、交通網が麻痺しました。
京都府京丹後市では、雪害対策本部が設置され、負傷者や除雪機による事故が発生しました。

各機関の対応

政府は、首相官邸に情報連絡室を設置し、情報収集と対応に当たりました。
防衛省は、自衛隊を派遣し、除雪作業や人命救助を行いました。
福井県では、災害救助法が適用され、支援体制が強化されました。
新潟県でも、災害救助法が適用され、被災者への支援が行われました。

主な記録

最深積雪

各地で記録的な積雪が観測されました。

主な低温記録

東北地方から九州地方にかけて、記録的な低温が観測されました。特に、以下の地点で観測開始以来の最低気温を更新しました。

雫石（岩手県）：-20.8℃
湯沢（秋田県）：-18.6℃
横手（秋田県）：-16.4℃
さいたま（埼玉県）：-9.8℃
青梅（東京都）：-9.3℃
徳佐（山口県）：-16.0℃
* 宇和（愛媛県）：-12.0℃

冬の平均気温

西日本では、32年ぶりの大寒冬となり、平均気温が平年を大きく下回りました。一方、北海道では1月上旬の高温の影響で、ほぼ平年並みとなりました。

まとめ

2017年冬から2018年春にかけての記録的な大雪と寒波は、日本各地に甚大な被害をもたらし、多くの人々の生活に影響を与えました。この異常気象は、偏西風の蛇行やラニーニャ現象、北極の成層圏突然昇温など、様々な要因が複合的に作用した結果であると考えられています。

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