平沢官衙遺跡

平沢官衙遺跡のご紹介

平沢官衙遺跡（ひらさわかんがいせき）は、茨城県つくば市にある貴重な歴史遺跡です。この遺跡は、奈良時代から平安時代にかけて存在した常陸国筑波郡の郡衙の一部で、日本の歴史における重要な位置を占めています。平沢官衙遺跡は、国の史跡にも指定されており、その価値が高く評価されています。

遺跡の概観

平沢官衙は、主に役所としての機能を果たしていた郡衙の遺跡であり、様々な建物が存在していたと考えられています。これには、郡衙政庁や正倉（税収として集められた物品の保管場所）、宿泊施設や厨房などの重要な役割を持つ建物が含まれます。平沢官衙遺跡では、掘立柱建物の跡や礎石の基壇跡、さらには竪穴建物の跡も確認されています。現在までの発掘調査によると、55棟の掘立柱建物の跡や4基の礎石建物の基壇、また25軒の竪穴建物が確認されています。

建物のレイアウトはコの字型やL字型が目立ち、段階的に増築された模様が見受けられます。これらの遺構の約3分の2が総柱式の建物であり、その構造から当時の建築技術や生活様式をうかがい知ることができます。

歴史的変遷

平沢官衙遺跡の重要性は1975年に発覚しました。当時、県営住宅団地の開発に先立ち行われた調査によって、その存在が明らかになったのです。1980年には保存運動が行われ、その結果、国の史跡として認定されました。その後、1993年には本格的な調査が実施され、1997年からは復元作業が始まりました。2003年には、遺跡が歴史公園として一般に開放され、多くの人々に歴史を学ぶ場が提供されました。

復元された施設

現在、平沢官衙遺跡内には実物大で復元された正倉（高床倉庫）や周囲を囲む大型の溝や柵の跡が見られます。その中でも特に目を引くのが、高床土壁塗双倉という倉庫です。この構造は、法隆寺の古代の建物を参考にしており、土壁と茅葺屋根で復元されています。古文献に基づくと、郡衙には大きな正倉が存在したことが推測されており、この双倉もその一例です。

さらに、校倉や板倉も復元されており、それぞれ独自の構造を持ち、古代の物品保管のスタイルが反映されています。また、大溝跡も遺跡全体を囲む形で掘られており、長さや深さも含めてよく保存されています。

アクセスとイベント

平沢官衙遺跡は、関東鉄道「大池・平沢官衙入口」またはつくバス「平沢官衙入口」のバス停からアクセス可能です。周辺地域では毎年11月に「つくば物語」というオカリナコンサートを中心としたイベントが開催され、多くの人が訪れています。

このように、平沢官衙遺跡は古代の官衙として非常に重要な場所であり、遺跡の保存と公開を通じて多くの人々に歴史の意義を伝えています。

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