平盛国

平盛国：清盛の忠臣、そして潔い最期

平盛国は、平安時代末期、平氏政権を支えた重要な人物の一人です。平清盛の側近として仕え、数々の戦場で活躍、朝廷でも要職を歴任しました。その生涯は、平氏の栄華と没落を象徴する物語として、歴史に刻まれています。

身分と出自

盛国の出自については諸説ありますが、平正度を祖とする平氏の一族であることは確実視されています。父については、平盛康、平盛遠、平資盛、平季衡など複数の説があり、未だに確定していません。三重県津市周辺を拠点とし、荘官を務めていたと推測されています。伊勢国に加え、鎮西にも所領を持っていたとみられています。嫡男の盛俊と共に「主馬判官管親子」と呼ばれ、その地位の高さがうかがえます。

清盛と共に

保元、平治の乱では、清盛に従って侍大将として奮戦し、数々の武功を挙げました。その後も、右衛門尉、左衛門尉などの要職を歴任、検非違使にも任ぜられています。大内裏造営への貢献も認められ、朝廷からの信頼も厚かったことがわかります。長寛2年(1164年)には、平家納経の制作にも関与しています。また、憲仁親王の立太子に際しては東宮の主馬首を兼任し、「主馬判官」と呼ばれるようになりました。平家貞の死後には、平家随一の郎党として、平氏宗家の家令、いわば執事としての役割を果たしたとされています。

重要な役割

盛国は、朝廷での公務にも従事しており、承安年間には関白・松殿基房の賀茂詣に供奉しています。検非違使や左衛門尉としての職務に精励していたことが分かります。また、承安3年(1173年)に清盛一族が厳島神社に奉納した舞楽面9面が現存し、国宝に指定されていますが、そのうち2面の裏面には盛国が調達した旨の銘が記されています。この銘文は、盛国の朝廷や平氏一族における重要性を示す貴重な史料となっています。

平家没落

治承元年(1177年)の鹿ケ谷の陰謀では、密告者の多田行綱に対応、清盛の怒りを重盛に伝え、事態の収拾に尽力したとされています。また、治承4年(1180年)の富士川の戦いでは、敗戦の責任を問われた伊藤忠清を弁護するなど、平氏内部の紛争解決にも関わっていました。治承5年(1181年)、清盛は盛国の屋敷で亡くなっています。

平氏の勢力が衰えると、盛国も都落ちを余儀なくされました。高齢であったためか、清盛死後の盛国の活躍はあまり記録に残されていませんが、平宗盛に仕えていたと考えられています。寿永3年(1184年)2月の一ノ谷の戦いでは、嫡男の盛俊が戦死、平家は滅亡の危機に瀕しました。そして、寿永4年(1185年)3月の壇ノ浦の戦いで平氏が滅亡すると、盛国は捕虜として鎌倉に送られました。

潔い最期

源頼朝は盛国の一命を助け、三浦氏の岡崎義実に預けました。頼朝からの帰順の勧告を拒否、法華経に向かい、飲食を絶ち、文治2年(1186年)7月25日、餓死によって自害しました。享年74。頼朝は盛国の潔い最期を称賛し、盛国の末子・関実忠を伊勢国の地頭に任じています。

平盛国の生涯は、忠義と気概に満ちたものでした。平氏政権の隆盛期から滅亡までを生き抜き、その最期は、後世にまで語り継がれる物語となっています。

参考文献

角田文衞　『平家後抄〈上〉落日後の平家』　講談社学術文庫　2000年（1981年刊行）。

関連作品

テレビドラマ
新・平家物語（1972年・NHK大河ドラマ）- 演：柳永二郎
平清盛（2012年・NHK大河ドラマ） - 演：上川隆也

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