平直行

平直行：格闘技の道を切り拓いた異才

平直行（たいら なおゆき）は、1963年12月15日生まれ、宮城県仙台市出身の元総合格闘家、元シュートボクサー、そして格闘技レフェリーです。現在はブラジリアン柔術アカデミー「ストライプル」の代表を務めています。

多彩な格闘技の経験

修斗、空手、ボクシング、ブラジリアン柔術、シュートボクシングなど、多岐にわたる格闘技を習得し、「技のおもちゃ箱」と称されました。その豊富な知識と技術で、プロのリングで多くのファンを魅了しました。人気漫画『グラップラー刃牙』の主人公、範馬刃牙のモデルとしても知られています。

生い立ちと格闘技との出会い

幼少期は、両親が共働きだったため祖母に育てられました。小学校時代にブルース・リーに憧れ、中学時代からはプロレスラーを目指しましたが、地元に練習場所がなかったため、東孝氏のもとで空手を始めました。親類にアマチュアボクシング経験者がいたことから、15歳でボクシングの練習も開始しました。

高校時代には、東京でボクシングの武者修行を経験。ラーメン店で住み込みアルバイトをしながら、田辺ジムで練習に励みました。その後、高校に再入学しボクシング部に所属する傍ら、大道塾にも移籍し空手も継続しました。

プロとしての活動

上京後、ボクシングとボディビルのジムに通い、プロレスラーを目指しました。その後、修斗でのデビュー戦を勝利し、スーパータイガージムのインストラクターに就任。プリシューティング選手権で優勝を果たしました。

プロ活動のため修斗を離れ、シュートボクシングに転向。シーザージムに移籍し、プロデビュー戦を勝利で飾りました。1989年頃にはタイへムエタイ修行に行きましたが、手違いから国際式ボクシングのジムに入門。世界チャンピオンのソット・チタラダらと練習を共にし、タイの格闘家の集中力とリラックスの切り替えの上手さに感銘を受けました。

シュートボクシングの世界タイトルマッチでは、マンソン・ギブソンにKO負けを喫しましたが、1990年には正道会館のオープントーナメント全日本空手道選手権大会でベスト8に進出しました。

総合格闘技への転向とブラジリアン柔術との出会い

1992年、総合格闘技への転向を決意し、正道会館主催の「格闘技オリンピック」に参戦。エリック・エデレンボスに勝利しました。その後、リングス参戦を経てゼンショー総合格闘技部へ移籍しましたが、膝の負傷により長期欠場。その間にUFCやブラジリアン柔術が登場し、格闘技界の勢力図が大きく変動しました。

平は、この未知の格闘技を学ぶため1995年に単身渡米し、カーリー・グレイシーの元でグレイシー柔術を学びました。帰国後、日本で初めてとなるグレイシー柔術アカデミーを開設し、後進の指導に尽力しました。

引退後

2002年にシュートボクシングで引退試合を行い、ネストー・ジンメルマンに勝利。引退後は、K-1、シュートボクシング、プロレスなどでレフェリーを務めました。

人物像とエピソード

シュートボクシング時代は、阿部健一、大江慎と共に三羽烏と称され、明るいキャラクターとトリッキーなファイトスタイルで人気を集めました。

武術への関心も深く、中国武術、太気拳、柳生心眼流などを学び、格闘技と合わせて後進に指導しています。また、作家の夢枕獏が名付け親であるブラジリアン柔術道場「ストライプル」を開設しました。

平直行は、その多彩な才能と飽くなき探求心で、日本の格闘技界に大きな足跡を残しました。

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