平群広成

平群広成の生涯とその功績

平群広成（へぐり の ひろなり）は、奈良時代に活躍した日本の貴族であり、その官位は従四位上・武蔵守であった。特に彼の業績は、遣唐使の判官として唐に渡った後、漂流しながらも無事に帰国したという点で知られている。広成は当時の日本人の中でも多くの異文化を体験した貴重な人物である。

平群広成の背景と時代

彼が生きた時代、神亀5年（728年）には日本海を渡った渤海使が初めて平城宮に到着し、国際的な交流が始まっていた。この背景の中、唐や渤海との関係を深めるための遣唐使が次第に重要視されていった。天平4年（732年）には第10次遣唐使の派遣が決定し、広成もその一員として選ばれた。

遣唐使としての活動

天平4年の8月、広成は遣唐大使の多治比広成及び副使中臣名代と共に派遣されることになり、多くの官人たちと共に唐へ向かった。彼らはその後、東シナ海を越え、無事に蘇州に到着するが、その途上で嵐に遭遇する。その結果、広成の乗る船は南に流され、最終的には崑崙国、現在のベトナム中部沿岸地域に漂流することとなる。

窮地からの脱出

広成の漂流した船には115名の乗員がいたが、上陸早々武装した崑崙兵に襲われ、広成を含む多くの者が命を落とす。彼は捕らえられるも、開元23年（735年）に唐の商人の助けを借りて脱出し、その後長安に送還される。この出来事は、当時の日本でも知られ、広成がその貴重な経験を持ち帰ったことが記録されている。

帰国の経緯

広成が長安に滞在する間、阿倍仲麻呂が日本への帰国の手続きを進めており、最終的には渤海経由での帰国が実現する。開元26年（738年）、広成たち遣唐使の生き残りがようやく日本に帰還し、平城京へと戻る。その際、広成はその後も朝廷から重用され、様々な官職を歴任することになる。

帰国後の活躍

帰国後、平群広成は朝廷において多くの権力を持つ知識人となった。彼は刑部大輔、東山道の巡察使、さらには武蔵守など、多くの重要な役職を歴任し、最終的には従四位上に昇進する。彼の生涯は、単なる官職業務の枠を超え、ナショナルなレベルでの国際関係や文化交流に大きな影響を与えた。

最後に

天平勝宝5年（753年）に平群広成はこの世を去り、彼の影響は今なお語り継がれている。広成を題材にした書籍も複数出版されており、彼の数奇な冒険は後世の人々にとっても魅力的なテーマとなっている。彼の生涯を通じて、日本と外国との交流の大切さを再確認させられる。

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