中臣名代

中臣名代の生涯と業績

中臣名代（なかとみ の なしろ）は、奈良時代に活躍した貴族であり、最終的には散位従四位下の官職にあります。彼の出自は中臣島麻呂を父とし、小錦上・中臣垂目の孫になります。彼の政治キャリアは神亀5年（728年）から始まり、この年に従六位下から外従五位下に昇進しました。この叙位は、中央の他の貴族たちに対しても外位への昇進が初めて行われた例となります。

名代の昇進は、彼が特に優れた功績を上げたことによるもので、同じく中央貴族である巨勢少麻呂や阿倍帯麻呂も外従五位下に叙せられました。彼の叙位を通じて、幕府からは今後、内位への叙位を目指して努力し続けるようにとの勅が発せられました。神亀6年（729年）に発生した長屋王の変の後、名代は再び内位の従五位下に叙せられることとなります。

その後、天平4年（732年）には第10次遣唐使の副使に任じられ、多治比広成が大使を務める中で日本からの大切な使命を果たしました。翌年には従五位上に昇進し、難波津から出立した彼は、8月に無事蘇州に到着しました。天平6年（734年）には洛陽に入り、玄宗への拝謁も果たしましたが、この際、戻りの途中で悪天候に見舞われ、彼が乗った船は福建に漂流しました。最終的には長安に送り返された名代は、報告・帰路を果たし、天平8年8月（736年10月2日）には平城京に帰還し、唐からの使者と共に聖武天皇に拝謁しました。

その後、天平8年11月には渡唐の功績により従四位下に昇進します。天平10年には神祇伯に任じられ、さらに右大臣の橘諸兄、右少弁の紀宇美と共に神宝を伊勢大神宮に奉納するために派遣されるなど、その地位は高まっていきました。しかし、天平12年（740年）に再従甥の藤原広嗣が乱を起こすと、それに連座し流罪となり、流刑にされる運命にありました。

名代は天平17年9月19日（745年10月18日）にその生涯を閉じましたが、彼が築いた政治的な基盤と国際交流の実績は、奈良時代の貴族社会において重要な意味を持っていました。名代の血筋も続いており、彼の子孫としては中臣伊賀麻呂や中臣鳥長などが記録に残っています。彼の官歴を見ても、彼の出世は時期を経るごとに著しく、彼の生涯はまさに奈良時代の流れを象徴するものと言えるでしょう。

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