年料別納租穀

年料別納租穀についての詳細

年料別納租穀（ねんりょうべつのうそこく）は、平安時代において地方の正倉に納められた田税を、特定の条件の下で不動穀とは異なる形で貯蔵し、中央政府の財政支援に利用する制度を指します。この制度は、主に中央が財政的に困窮した際に、太政官の命令に基づき、貴族や官吏に支給されるものでした。

制度の背景

平安時代中期に入り、京の住民は貴族から庶民に至るまで、農業から次第に距離を置く生活様式を選ぶようになりました。都市部の住人は、農業生産から乖離した生活を送っていたため、都での米の需要が増大しました。このような環境下で、貴族や官吏に対する給与の支給に苦労する中央政府は、これまで不動穀として保管していた租税を活用することにしたのです。

年料別納租穀の仕組み

年料別納租穀においては、初めに地方で田租が稲穀の形態で保管されました。この穀物は、財政が厳しい時期に京において法令に基づいて支給されました。対象となる国は主に遠方から選ばれ、特に年料舂米を負担しない地域が多かったとされています。この制度は、その運用上、年料舂米と重複する部分があるため、負担国は年料租舂米負担国と同じような扱いを受けることがありました。

平安京に勤務する官人たちは、基本的には年料別納租穀を現地で受け取ることが原則でありましたが、延喜式においては、他国からの位禄の輸送に関しては官が負担することが規定されていました。

量と対象国

「延喜式」には、年料別納租穀が適用された25ヶ国が記載されています。これらの国が負担した米の総量は、133,729斛に達しました。これにより中央政府は、そのときの財政の不足をある程度緩和することができたのです。貴族や官吏が受け取る年料は、もともとは庸調から支出されるものですが、庸調の納付が遅れたり、納入物の質が低下することで財源が絶たれ、年料別納租穀の制度が重要性を増すことになりました。

結論

年料別納租穀は、平安時代における社会経済の変化と、中央政府の財政運営に大きく関わった制度です。都会の生活様式が定着する中で、農業生産からの距離が生まれ、都市部の需要に対応するためにこの制度が確立されました。年料別納租穀は、当時の地方と中央の経済的な相互作用を理解する上でも重要な要素となっています。

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