年料舂米

年料舂米について

年料舂米（ねんりょうしょうまい）は、日本の古代律令制において、定められた地域から毎年都へと運び込まれた特定の米を指します。この米は、官僚への給付として用いられ、国の運営に重要な役割を果たしていました。

背景と機能

律令制度では、各地方の国から税収として田令に基づく稲穀が正倉に納められ、その一部が米として加工されることになっていました。この年料舂米は、特に重要なものであり、運搬は主に2月から8月の間に行われました。これにより、都に必要な物資が常に供給される仕組みが整えられていました。

また、田租制度が進化し、動用正税から得た利益を利用して、国司からの出挙が行われるようになりました。この出挙から得られた利息の一部を年料舂米に充てることで、さらなる経済的基盤が構築されていきました。

制度の確立と運搬方法

天平年間には、年料舂米の制度はほぼ確立していたと考えられています。具体的には、貢進は5斗（1俵）単位で行われるルールがあり、馬を用いた場合、1頭あたり最大で3俵の米を運搬することが定められていました。このような輸送の規定により、効率的に米が供給される体制が築かれていたのです。

延喜式による具体的な貢進量

延喜式では、畿内や沿岸地域を中心とした22の国から米の貢進が行われることが規定されていました。具体的には、大炊寮に対して白米が17,330斛、糯米が260斛、内蔵寮に対して黒米が200斛、そして民部省に対しては黒米が500斛供給されることが義務付けられていました。このように、年料舂米は律令制度の重要な一環として、国家へ貢献していたのです。

その後の制度の変化

後の時代では、不動穀の一部を中央へと納める年料租舂米の制度が導入され、当初の年料舂米のシステムはさらに発展していきました。これにより、米の供給元や管理体制がその時代に合わせて調整され、制度的な安定を図ることができました。

年料舂米は、当時の日本社会において物流や税制の根幹を支えただけでなく、官人への待遇や国家運営にも直接結びつく重要な制度となっていたのです。このような歴史的背景は、現代の日本の制度の基盤としても影響を与えていると言えるでしょう。

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