年賀切手

年賀切手とは

年賀切手とは、新年の挨拶状である年賀状に使用するために発行される特殊切手の一種です。主に私製はがきや封書に貼って使用され、日本をはじめ、同様の習慣を持つ韓国、中国、台湾などで発行されています。

近年では、正月の習慣がないアメリカでも、中国系市民向けに年賀切手が発行されることがあります。キリスト教文化圏で使用されるクリスマスカードのためのクリスマス切手と同様の役割を持っています。

年賀切手の歴史

世界で初めて年賀切手を発行したのは、南米のパラグアイで、1931年に1932年用として発行されました。日本で年賀郵便特別取扱が始まったのは1899年ですが、当初は年賀切手は発行されていませんでした。

日本で初めて年賀切手が発行されたのは1935年（昭和10年）の「昭和十一年年賀用切手」です。当時、私製年賀葉書が多かったため、その利用者へのサービスとして発行されました。デザインは渡辺崋山の「富嶽図」に松竹梅の囲み枠を配したもので、3億枚以上が発行されました。

翌年も発行されましたが、日中戦争の影響で年賀状のやり取りが減少し、1937年を最後に一時発行が打ち切られました。年賀状特別取扱も1938年限りで廃止となっています。

戦後、1948年（昭和23年）に年賀切手が復活しました。1950年（昭和25年）には、お年玉付き年賀はがきの景品としてお年玉切手シートが採用されたため、年賀切手が年賀はがきの景品として発行されるという変則的な形となりました。

1954年用からは、私製年賀郵便にも使えるよう、前年の12月に発行されるようになり、現在に至ります。

現在の年賀切手

1989年からは、年賀はがきと同様にくじが付いた封書用の年賀切手が発行され、1990年からは私製葉書用のくじ付き切手も発行されるようになりました。現在では、葉書用、封書用に加え、寄附金付き切手も発行されています。また、大口顧客向けにオリジナルデザインの年賀切手を作成することも可能です。

2015年用からは、海外宛ての差額用として、海外グリーティング切手も発売されています。

世界の年賀切手

日本以外にも、満州国や琉球郵政庁（アメリカ統治下の沖縄）が年賀切手を発行していました。近年では、東アジアを中心に多くの国で年賀切手が発行されています。

中国では、春節（旧正月）の時期に合わせて年賀切手が発行されます。アメリカ合衆国でも、干支の動物を描いた年賀切手が発行されています。

カナダやその他の国でも、干支をモチーフにした年賀切手が発行されることがあります。

年賀切手は、新年の挨拶という文化を反映した、世界中で親しまれている切手です。

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